告訴権者とは?誰が告訴できるのかを元刑事がわかりやすく解説

「誰が告訴できるのか」「告訴権者とは誰のことか」と疑問に思う方は少なくありません。

刑事事件では、誰でも自由に告訴できるわけではなく、法律で定められた告訴権者だけが告訴を行うことができます。

この記事では、告訴権者の範囲や年齢、未成年者の場合の取扱い、法定代理人による告訴などについて、元刑事の視点からわかりやすく解説します。

告訴権者とは

告訴権者とは、犯罪によって被害を受けた人など、法律上、告訴を行う権利を持つ人をいいます。つまり、被害者のことです。

刑事訴訟法では、原則として**「犯罪により害を被った者」**に告訴権が認められています。

つまり、第三者が「代わりに告訴したい」と思っても、法律上の告訴権がなければ告訴をすることはできません。

告訴権者の具体例

次のようなケースでは、被害者本人が告訴権者となります。

  • 窃盗被害に遭った人
  • 詐欺で金品をだまし取られた人
  • 暴行や傷害の被害を受けた人
  • 脅迫を受けた人
  • 器物損壊の被害を受けた人
  • 名誉毀損や侮辱の被害を受けた人

これらの犯罪では、被害者本人が告訴を行うことができます。

告訴権者の範囲

告訴権は原則として被害者本人に認められます。

例えば、妻が名誉毀損の被害を受けた場合、妻が存命である限り、夫には告訴権はありません。

一方、器物損壊罪では、所有者だけでなく、実際にその物を使用・管理している人にも告訴権が認められる場合があります。

例えば、賃貸マンションの窓ガラスが割られた場合には、建物の所有者であるオーナーだけでなく、その部屋に居住している賃借人にも告訴権が認められることがあります。この考え方は、昭和45年の最高裁判例でも示されています。

告訴権者になれる年齢

刑事訴訟法には、告訴権者となる年齢について明確な規定はありません。

しかし、裁判例では、一般的に13歳程度以上であれば、自らの意思で告訴できる能力があると判断されるケースが多くあります。ただし、裁判例の中には、11歳の女の子の告訴を有効としたものもあります。

年齢だけでなく、本人の理解力や判断能力も考慮されます。

未成年者は誰が告訴するのか

被害者が幼少で自ら告訴することが困難な場合は、法定代理人が告訴を行うことができます。

法定代理人には、次のような人が該当します。

  • 父母
  • 養親
  • 未成年後見人

一方で、認知した父や継父母は、法定代理人ではないため、当然には告訴権者とはなりません。

また、法定代理人自身が被疑者である場合には、他の法定代理人や一定の親族が告訴できる場合があります。

皇族に対する名誉毀損の告訴権者

皇族に対する名誉に関する犯罪については、通常の事件とは異なり、内閣総理大臣が告訴権者となる特則が設けられています。

被害者が存在しない犯罪は告訴できない

すべての犯罪について告訴ができるわけではありません。

例えば、次のような犯罪は、特定の被害者が存在しないため、告訴の対象にはなりません。

  • 贈収賄罪
  • 公然わいせつ罪
  • 薬物犯罪
  • 銃刀法違反
  • 公職選挙法違反
  • 廃棄物処理法違反
  • 道交法違反

このような犯罪について捜査を求める場合は、告訴ではなく告発を行うことになります。

告訴権者についてよくある質問

家族なら誰でも告訴できますか?

いいえ。家族であっても、法律上の告訴権が認められていなければ告訴はできません。原則として、犯罪によって直接被害を受けた人が告訴権者となります。

被害者が未成年でも告訴できますか?

はい。判断能力があれば本人が告訴できます。難しい場合は、法定代理人が代わって告訴を行うことができます。

告訴できない犯罪もありますか?

あります。贈収賄や薬物犯罪など、特定の被害者が存在しない犯罪については、告訴ではなく告発を行うことになります。

まとめ

告訴権者とは、犯罪によって直接被害を受けた人など、法律で告訴権が認められた人をいいます。

「自分に告訴権があるのか」「家族が代わりに告訴できるのか」などは、犯罪の内容や被害者との関係によって異なります。

告訴権者を誤ってしまうと、告訴状が受理されない原因にもなります。確実に手続きを進めるためにも、告訴状を作成する前に、告訴権の有無を十分に確認することが重要です。

○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

Profile Picture