警察署に事件相談するときに準備すべき資料とは?証拠の整理方法を元刑事が解説

犯罪被害に遭い、警察署へ事件相談に行く場合、「証拠があるから大丈夫」と考えている方は少なくありません。しかし、証拠をそのまま持参するだけでは、警察官が短時間で内容を把握できず、十分に伝わらないことがあります。

例えば、何十分もある録音データを「一緒に聞いてください」とお願いしても、警察官は他の事件や相談対応も抱えているため、長時間かけて確認することは困難です。動画や大量のLINEメッセージも同様です。

警察相談をスムーズに進めるためには、証拠資料を整理し、重要なポイントを短時間で確認できる状態にしておくことが重要です。

ここでは、元刑事の経験をもとに、警察署へ相談する際に準備しておくべき資料と整理方法を解説します。

1.音声データは文字起こし(反訳)をしておく

脅迫、恐喝、詐欺、ストーカーなどの事件では、犯人との会話を録音しているケースがあります。

音声データがある場合は、そのまま提出するのではなく、まず文字起こし(反訳)を行いましょう。

現在は無料で利用できるAI文字起こしサービスも多く存在します。長時間の音声で無料プランの制限に引っかかる場合は、音声を分割して処理する方法があります。

ただし、AIによる文字起こしには誤変換があるため、必ず人の目で修正してください。

修正後は、事件に関係する重要部分にマーカーや赤字を入れて印刷し、該当部分に付せんを貼ります。

例えば脅迫罪であれば、

「お前の家に火をつけてやる」

といった脅迫文言を目立つようにしておきます。

こうしておけば、警察官は何十分もの録音を最初から聞く必要がなく、重要部分だけを数分で確認できます。

2.動画データは重要場面を抜き出す

動画データも基本的な考え方は音声データと同じです。

動画内の会話はAIで文字起こしを行い、重要部分を反訳書としてまとめます。

また、暴行や器物損壊、迷惑行為などが映っている場合は、重要な場面をスクリーンショットで保存し、紙に印刷して持参しましょう。

警察官が一目で状況を把握できる資料を作ることが重要です。

3.メールやLINEのやり取りは印刷する

メールやLINEのやり取りは、できる限り紙に印刷して持参します。

特に重要な部分には付せんを貼り、警察官がすぐ確認できるようにしておきましょう。

LINEの場合、スクリーンショットを大量に保存すると枚数が膨大になることがあります。

その場合は、LINEのトーク履歴をテキストデータとして保存し、印刷する方法がおすすめです。ラインをテキストデータ化するやり方は、ネット検索するとすぐに出てきます。非常に簡単です。

ただし、スタンプや画像が多い場合はテキスト化すると意味が伝わらなくなることがあります。その場合は、重要部分のみスクリーンショットを印刷してください。

4.時系列表を作成する

警察相談で特に重要なのが「時系列表」です。

時系列表とは、事件の経緯を古い順から新しい順に整理した一覧表のことです。

例えば結婚詐欺事件であれば、

  • 令和5年1月3日 犯人と初めて会う
  • 令和5年1月14日 独身であると説明を受ける
  • 令和5年2月3日 500万円の借金を依頼される
  • 令和5年2月20日 500万円を送金する
  • 令和5年4月30日 既婚者であることが判明する
  • 令和5年5月1日 返金要求後にブロックされる

というように整理します。

警察では和暦を使用することが多いため、可能であれば「令和○年○月○日」の形式で記載しましょう。

なお、時系列表は詳細を書きすぎる必要はありません。A4用紙1~2枚程度にまとめるのが理想です。

5.証拠品はできるだけ素手で触らない

犯人が触れた可能性のある物は、指紋やDNAなどの鑑識資料になる可能性があります。

そのため、

  • 手袋を使用する
  • ピンセットを使用する
  • ビニール袋などで保管する

などの方法で保全しましょう。

特に犯人が署名した書類やメモなどは、指掌紋が検出される可能性があります。

証拠品の取り扱いには十分注意してください。

6.目撃者や参考人の陳述書を準備する

事件を目撃した人や事情を知っている人がいる場合は、陳述書や供述書を作成してもらいましょう。

可能であれば、

  • 氏名
  • 住所
  • 電話番号
  • 署名
  • 押印

を記載してもらいます。

また、後になって「被害者が勝手に作成した」と言われるリスクを避けるため、できるだけ本人の手書きで作成してもらうのが望ましいでしょう。

こちらもA4用紙1~2枚程度で十分です。

7.現場写真を撮影しておく

暴行、傷害、器物損壊など、現場が存在する事件では写真撮影も重要です。

撮影する際は、

  • 東西南北の4方向から撮影する
  • 現場全体がわかる写真を撮る
  • 被害箇所の接写を撮る

ことを意識してください。

また、協力者がいる場合は、被害者と犯人の位置関係がわかるように再現写真を撮影すると、状況が伝わりやすくなります。

暴行事件や傷害事件では、実際の状況を再現した動画を撮影しておくのも有効です。

まとめ|警察相談は「証拠の量」より「整理の仕方」が重要

警察署へ事件相談に行く際、多くの方は証拠集めに力を入れます。しかし、実際には証拠の量よりも「警察官が短時間で理解できるよう整理されているか」が重要です。

特に、

  • 音声データの文字起こし
  • 動画の重要場面の抜き出し
  • LINEやメールの印刷
  • 時系列表の作成
  • 目撃者の陳述書
  • 現場写真の整理

を行っておくことで、警察官は事件の全体像を把握しやすくなります。

事件相談や被害届の提出、告訴状の提出を検討している方は、ぜひ事前準備を行ったうえで警察署へ相談してください。

○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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