マンション内トラブルでお悩みの方へ|刑事告訴できるケースと告訴状作成のポイント【元刑事が解説】

 マンション内でのトラブルに関するご相談は、近年急増しています。
 マンションは「加害者と被害者の距離が極めて近い」という特殊な環境のため、

  • トラブルが感情的にエスカレートしやすい
  • 嫌がらせや中傷が長期化しやすい
  • 管理組合や理事会では解決できない

といった特徴があります。

その結果、**「我慢の限界」「警察に相談したい」「告訴できないのか」**と考える方が非常に多くなっています。

本記事では、
マンション内トラブルのうち、刑事事件として告訴できる代表的なケースを罪名ごとに解説します。
ご自身の状況が該当するかどうかを確認する参考にしてください。


1.名誉毀損罪・侮辱罪|掲示板・ビラ・理事会での中傷

マンション内トラブルで最も多い罪名が、名誉毀損罪・侮辱罪です。

該当する典型例

  • エントランスの掲示板に
    「〇〇号室の△△は××××の常習者」など、特定人物の社会的評価を下げる内容のビラを貼る行為
  • 同様の内容のビラを、複数世帯(目安として5~6軒以上)のポストに投函する行為
  • 理事会や総会など、複数人が集まる場で上記内容を口頭で発言する行為

※ポイント
「誰に向けて発信されたか」「何人が認識できる状況か」が重要です。


2.脅迫罪・恐喝罪・強要罪|言葉・メール・手紙でも成立

以下のような害悪の告知は脅迫罪に該当します。

  • 「殺すぞ」「殴るぞ」
  • 「部屋に火をつけるぞ」「閉じ込めるぞ」
  • 「裸の写真をばらまくぞ」

方法は問いません。
口頭・メール・LINE・手紙・張り紙いずれでも成立します。脅迫した上で下記の行為を行えばより重い罪になります。

  • 脅迫して金銭を要求 → 恐喝罪
  • 念書作成や行動を強要 → 強要罪

3.住居侵入罪|室内だけでなくベランダも対象

他人の住居に正当な理由なく侵入すれば住居侵入罪が成立します。

  • 部屋の中への侵入
  • ベランダへの侵入

いずれも対象です。
「短時間だから」「顔見知りだから」は理由になりません。


4.器物損壊罪|小さな傷でも成立することがある

故意(わざと)に他人の物を壊せば器物損壊罪が成立します。

  • 物の「効用を害する一切の行為」が対象
  • 美術品・工芸品・高級時計などは、わずかな傷でも成立する場合あり

※注意
過失(うっかり)では成立しません。
例:上階住人がうっかり風呂の水を出しっぱなしにして水漏れ → 器物損壊罪は不成立


5.建造物損壊罪|ドアは該当、窓ガラスは原則該当しない

建物またはその一部を故意に破壊すると、器物損壊罪より重い建造物損壊罪になります。

対象例

  • 壁・床・天井
  • 玄関ドア

※窓ガラスは原則として対象外とされています。


6.業務上横領罪|理事会会計の使い込み

管理組合・理事会の会計担当者による以下の行為は、業務上横領罪が成立します。

  • 管理費・修繕積立金の使い込み
  • 理事会の通帳・キャッシュカードを正当な理由なく返さない行為

※「抑留」という態様でも成立します。


7.背任罪|知人業者への不当に高額な発注

理事会の立場を利用し、

  • 知人業者を選定
  • 相場より著しく高額な工事契約を締結
  • 管理組合に損害を与える

このような場合、背任罪が成立します。
修繕工事に限らず、備品購入でも同様です。


8.私文書偽造罪・同行使罪|署名のなりすまし

要望書・陳情書などで、

  • 他人の名前を
  • 本人の了承なく
  • 勝手に署名した場合

有印私文書偽造罪が成立します。
その文書を提出・提示すれば同行使罪も成立します。

※注意
私文書偽造罪は「内容が虚偽」でも、自分の名前で書いていれば成立しません


9.傷害罪(PTSD)|嫌がらせによる精神疾患

継続的な嫌がらせにより、

  • PTSD
  • 適応障害
  • うつ病

などを発症した場合、傷害罪が成立する可能性があります。

有名な例が「騒音おばさん事件」です。

重要なポイント

  • 医師の診断書(因果関係の記載)
  • 録音・動画・写真
  • 手紙・メール・LINE

これらの証拠の有無が極めて重要です。


マンション内トラブルは「告訴状の書き方」で結果が変わります

マンション内トラブルは、
感情論では警察に動いてもらえません。

  • どの罪名で告訴するのか
  • 構成要件をどう満たすか
  • 証拠をどう整理するか

これらを踏まえた専門的な告訴状が必要です。

元刑事の行政書士による告訴状作成サポートを利用することで、
警察に受理される可能性を大きく高めることができます。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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