被告訴人は誰にすべきか【元刑事が解説】

 犯罪被害にあった被害者が、犯人の処罰を求めることを告訴といいます。告訴は、法的には口頭でも可能ですが、実務上は告訴状という書類で行われることがほとんどです。告訴状には、告訴事実の他に、被告訴人つまり犯人を記載することになります。知り合いにお金を騙し取られた詐欺事件のような場合は、その知り合いの名前や住所を記載することになります。ネット上の名誉毀損罪などで、相手がどこの誰かわからない場合は、単に「不詳」とするか、ハンドルネームなどわかっている事項を記載します。問題となるのは、犯人が複数いて、周辺にグレーな人物がいる場合です。例えばAとBという二人にお金を騙し取られたとして、その周辺にいるCも怪しいというケースです。こうした場合、確たる証拠もなくABの他にCも被告訴人として告訴すると、Cが全くの無関係であると、後でCから虚偽告訴罪で訴えられたり、民事上の損害賠償請求を起こされる可能性があります。したがって、関与がはっきりわからない者がいるときは、被告訴人に入れるべきではなく、その旨を口頭で警察官に説明すれば足ります。捜査の過程でCの関与が明らかになれば、告訴状に被告訴人としての記載がなくても、処罰対象にしてもらえるからです。
 会社ぐるみの犯罪があってその被害にあったとしても、その会社(法人)を被告訴人とすることはできません。人間ではない会社は、人を騙したり、殴ったり、脅したりはできません。また、告訴は、被告訴人の処罰を求めることですから、会社を刑務所に入れることもできないからです。例外として、金商法違犯や廃棄物処理法違犯など、両罰規定(人間だけでなく法人に対しても罰金刑を与える罰則規定)のある法令違反の場合は、法人も罰せられますので、訴えることが可能です。ただし、これらの法令違反は被害者不在の犯罪ですから、告訴することはできず、告発することになります。告発状の被告発人欄には、人と法人名を並記することになります。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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