指紋について【元刑事が解説】
指紋は万人不一致とされています。日本警察では、指紋の特徴点(分岐、中断、島など)の位置が12点一致したときにはじめて(合致した)と判断します。特徴点12点が偶然に一致する確率は数十億分の一とされていることから、地球上に同じ指紋の人は一人しかいない計算になります。一卵性双生児であっても指紋は異なります。
遺留指紋は、表面が平滑で滑らかなものほど付きやすいです。ガラスが一番付きやすく、かつ顕出と採取も容易です。次が金属やプラスティックです。意外と紙からもよく出ます。紙をニンヒドリンという溶液に浸し、熱を加えると紫色の指紋がさーっと現れます。財布などの革製品も一応取れるということになっていますが、私は現役時代に、革製品から12点の特徴点が確認できそうなきれいな遺留指紋が採れたのを一度も見たことがありません。よほど条件がよくないと革製品から対象可能な指紋を採取するのは難しいでしょう。
ガラスや金属製品から指紋を採取する場合は、アルミ粉末を使います。2010年代だったと思いますが、マスコミが「アルミ有害説」を報道したことがあります。アルミ鍋などを調理に使うと、溶けだした微小なアルミが体内に入り、健康を害するという内容でした。この報道を見たときに、即座に「絶対間違いだ」と思いました。なぜなら、警察の鑑識課指紋係は、現場で毎日毎日刷毛でアルミ粉末をパタパタと振り続けており、マスクをしているとはいえ、微細なアルミ粉末を大量に吸い込んでいます。もし、アルミ鍋から溶け出す程度の量で健康被害が出るなら、彼らはとっくに廃人になっているはずだと思ったからです。案の定、「アルミ有害説」は一時だけの報道で終わり、現在は無害説が主流となっています。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
