せっかく裁判で勝訴したのに財産を隠匿・譲渡された場合【元刑事が解説】
何らかの請求訴訟を提訴して、苦労と時間とお金をかけて勝訴したのに、財産を仮装譲渡されたり、隠匿されたりすることがあります。これは、刑法96条の2強制執行妨害目的財産損壊等罪に該当します。判決によるものだけではなく、強制執行認諾文言付き公正証書がある場合でも適用されます。実際に強制執行が妨害された結果は必要ではなく、また判決が出る前に隠匿した場合にも広く適用されます。具体的な行為としては、財産の「隠匿」「損壊」「仮装譲渡」「仮装債務負担」などがあります。なお、この罪は、刑法改正により、 刑法第5章公務の執行を妨害する罪の章に編入されたことから、被害者は個人ではなく、国ということになり、訴える際は告訴状ではなく、告発状を作成することになります。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
