刑事の異常に長い勤務時間【元刑事が解説】
刑事の勤務には「日勤」「当番」「非番」があります。「日勤」は通常の会社員や市役所と同じように朝出勤して夕方に仕事が終わる勤務です。「当番」は、朝から翌日午前中までの宿直勤務です。「非番」は、よく休日と間違われますが、「当番」の翌日である宿直明けの日のことを言います。勤務上は「休日」ではなく出勤扱いです。
「当番」の制度上の勤務時間は8:30~翌日9:30となっています。連続25時間勤務です。しかし、非番日の朝9:30に勤務終了して帰れることは年に1回か2回くらいしかありません。逮捕事案があれば送致の手続をして署長までの決裁を取らないとなりません。変死があれば検視官の到着を待って検視を行い、その後医師の到着を待って検案を行い、解剖がなければ遺族に遺体を引き渡さないとなりません。解剖となればその準備と立ち会いがあります。さらに、置き引きやひったくりなど、何らかの街頭犯罪があれば、犯行現場付近にいって防犯カメラの画像データを集めてこないとなりません。冬場になると火事も増えます。ボヤ程度ならやらないのですが、消防が放水して消火する程度の火事だと、翌日に「掘り起こし」といって、消防と一緒に火災現場の出火原因調査をやらないとなりません。消防は日勤勤務の調査員が来て行うのですが、刑事は夜勤明けの非番員が行います。
そんなこんなで、刑事の非番勤務終了は、午後4時から午後5時頃までとなるのが普通です。日勤勤務員より帰宅が遅くなることも珍しくありません。勤務時間にすると連続31時間程度となります。この間一睡もできないこともあります。眠れたとしても机に突っ伏して2時間程度です。非番の午後9時を過ぎると、さすがに満員電車で1時間以上立って帰るのはキツいので、道場に布団を敷いて署に泊まっていました。2連泊ですね。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
