警察官になろうと思っている人たちへ【元警視庁刑事より】
将来警察官になろうと思っている人たちへ、警視庁で32年間勤めた私からアドバイスを送ります。警察官になるかどうかを決めかねている人にとって少しでも参考になればと思います。
1.実は警察学校の訓練は大したことありません
警察学校の訓練がキツい、何十キロと走らせられる、スマホを没収されるなどなど、警察学校での訓練が大変という情報がありますが、実はそうでもありません。これは警察学校を卒業するとわかります。第一線に出ると、厳しい上司のしごき、意地悪な先輩の嫌がらせ、絡んでくる酔っ払いや不良、毎日110番してくる病気の人やクレーマー等々、警察の中にも外にも敵だらけです。すぐに警察学校に戻りたくなります。
2.GW、夏休み、年末年始などの連休はほぼありません
交番勤務は3部制(県警)または4部制(警視庁)です。2日働いて1日休み(出勤になる場合もあり)、3日働いて1日休み(前記と同じ)のサイクルが永遠に続きます。世間の大型連休などとは一切無縁です。管内に観光地がある警察署だと、むしろこうした時期は忙しくなってかえって休めません。また休みは曜日と関係ないので、学生時代の友人との飲み会やイベントとスケジュールが合わないことが度々あります。彼女、彼氏ができてもなかなか会えないことも珍しくありません。
3.当番(宿直)勤務では眠れません
勤務表上では夜間3時間程度の休憩時間がありますが、大抵何かの110番や通報があって眠れないのが普通です。
4.勤務時間がめちゃくちゃ長いです
県警の3部制の場合、午前8:30から翌日午前10:30頃までが正規の勤務時間ですが、そこから書類整理等で2~3時間居残りとなるのが普通です。警視庁の4部制の場合、午後2:30から翌日午前10:30までが正規の勤務時間ですが、やはりそこから2~3時間居残りとなることが多いです。非番の朝方に逮捕事案があれば、その日の夜まで居残りとなります。
5.結婚は許可制です
彼女や彼女の両親に警察にとって好ましくない事情があると、結婚をあきらめるか警察を辞めるかの二択を迫られます。
6.警察官を続ける限り柔道・剣道・逮捕術の訓練を続ける必要があります
50歳を過ぎても、60歳を過ぎても練習に参加しないとなりません。
7.県内どこでも異動(転勤)があります(警視庁除く)
例えば県内の北のはじに家を買ったとしても、次の異動で南のはじの署に異動となることがあります。当然通えないので単身赴任となります。
8.上司にもよりますがパワハラ的な指導が当たり前のようにあります
警察署は6署で勤務しましたが、精神的ストレスで休職している署員がいなかった署は1署もありませんでした。誰から何を言われても動じないくらいの強いメンタルがないといつか壊れてしまうかもしれません。
9.退職までずっと勉強する必要があります
昇任試験はSAが必ずあります。また、法令や制度の改正が毎年何かしら必ずあるので、常に最新の知識と手続を覚えなくてなりません。
いかがでしたか。ここまで読んで「全然平気」と思った方はぜひ警察官になってください。将来警部以上になれる優秀な人材だと思います。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
