自分がいる警察署の署長の逮捕状を持っていた刑事の話【元警視庁刑事のコラム】

これは、私が刑事になったばかりの1990年代に、年配の刑事から「昔の警察の話」として聞いたエピソードです。

かなり昔の話であり、もし内容が事実だとすれば1960年代から1970年代頃の出来事と思われます。ただし、私はその場にいたわけではなく、真偽を確認できている話ではありません。あくまで“警察内部で語られていた昔話”として読んでください。

現在は逮捕状を請求できる警察官が限定されている

現在、裁判所に対して逮捕状の請求ができるのは、法律上、一定の権限を持つ警察官に限られています。

警視庁の警察署でいえば、一般的には**警部以上の幹部(課長・課長代理など)**がその権限を持っています。若手刑事や交番勤務の警察官が自由に逮捕状を請求できるわけではありません。

これは、逮捕という重大な強制処分に対して適正なチェックを働かせるための制度です。

しかし、昔は今とは違い、もっと緩やかな時代があった――そんな話を年配の刑事から聞いたことがあります。

署長の逮捕状を取った刑事?警察内部で語られた衝撃の話

その年配刑事が、昔ある警察署で勤務していた頃の話です。

当時、ある刑事が自分の署の署長をひどく嫌っていたそうです。

そこで、その刑事はとんでもないことを思いつきます。

なんと、虚偽の被害届虚偽の捜査報告書を作成し、それを持って裁判所へ行き、署長に対する逮捕状を請求したというのです。

そして驚くことに、その逮捕状は実際に発付されたそうです。

その刑事は、取得した逮捕状を署内で同僚に見せながら、

「俺は署長の逮捕状を持っている。いつでもあいつを逮捕できるんだ。」

と得意げに話していたとのこと。

もちろん、実際に署長を逮捕することはなかったそうですが、もし本当の話だとすれば、今では到底考えられない出来事です。

現代の警察制度では絶対にあり得ない理由

現在の警察実務では、このようなことはまず不可能です。

理由は以下のとおりです。

1. 逮捕状請求の権限が厳格に制限されている

逮捕状を請求できる警察官は限定されており、若手刑事が独断で進めることはできません。

2. 捜査書類のチェック体制がある

被害届、供述調書、捜査報告書などは複数の目で確認されます。

3. 虚偽書類の作成は重大犯罪

もし虚偽の書類で逮捕状を取得すれば、虚偽有印公文書作成罪やその他の刑事責任が問題になります。

4. 裁判所の審査も厳格

現在は逮捕状請求の内容について、裁判官による審査も厳格に行われています。

元刑事の感想

警察組織には昔からさまざまな逸話があります。

本当にあった話なのか、それとも尾ひれのついた都市伝説なのかはわかりません。

ただ、こうした話を聞くと、昔の警察組織が今よりもずっと大らかだった(あるいは雑だった)時代があったのかもしれない、と感じます。

元刑事として言えるのは、現代の警察実務ではこのようなことはまず不可能だということです。

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淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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