自分がいる警察署の署長の逮捕状を持っていた刑事の話【元警視庁刑事のコラム】
これは私が刑事になったばかりの頃(1990年代)に、年配の刑事から「昔の話」として聞いた話です。ですから、話の内容が本当だとして、1960年代か1970年代の話だと思われます。もちろん、真実かどうかは全くわかりません。
現在は、裁判所に「逮捕状」を請求できるのは、指定の「警部以上の階級」にある警察官と限定されています。警視庁の警察署だと、「課長」または「課長代理」が該当します。しかし、古い時代には、警察官であれば誰でも逮捕状が請求できた時代があったようです。ここからは、先ほど話した年配の刑事から聞いた話となります。
その年配刑事が昔某署で勤務していたとき、ある刑事がそのときの署長が大嫌いで、何かしてやろうと考えた結果、嘘の被害届と嘘の捜査報告書を作成し、裁判所に行ってその署長の逮捕状を請求し、まんまとその発付を受け、署内で他の刑事に見せびらかしていたそうです。そして何かある度に、「オレは署長の逮捕状を持っている。いつでもあいつを逮捕できるんだ。」と自慢していたそうです。もちろん、実際にその逮捕状を執行して署長を逮捕したことは無かったそうですが、今では絶対に考えられない話です。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
