警察官 大卒 高卒
都道府県警警察官になるには、各都道府県警の採用試験を受けることになります。試験には枠が二つあり、「大卒またはその見込み」「高卒またはその見込み}となります。専門学校は高卒枠となります。質問サイトなどを見ると、高校生がどちらで受けるべきか悩むケース多いようなのでざっくりその違いを説明したいと思います。
まず、給料ですが、当然大卒のほうが高いです。具体的な金額はその年その年で異なりますし、都道府県警によっても違いますので、ご自分で確認してください。大卒のほうが高いとはいえ、高卒新卒で入れば単純に大卒より4年早く給料をもらうことができます。また大学に通う学費は当然要りません。さらに退職金の金額も4年長い分の加算はそれなりにあるでしょう。学費の高い大学に行ったならば、トータルで考えれば高卒のほうがお得ということになりそうです。
警察学校の入校期間が違います。現在、高卒は10か月、大卒は6か月です。私が入校した1990年代は高卒は12か月でしたが、何年か前に短縮されました。なお、当然ですが、給料は入校したときから出ます。
警察学校を卒業して、警察署に配置された後、昇任試験を受けられる期間が違います。巡査部長で大卒2年、高卒4年です。その後の警部補試験も同様に大卒2年、高卒4年です。合否に関しては純粋に点数なので学齢は影響しません。最終的になれる階級ですが、大卒警視長、高卒警視正と言われています。高卒でも警察署長や本部の課長など所属長になることは十分に可能です。私の知っている高卒の方は、署長→本部課長→署長と所属長を3箇所やられました。
さて、実際に勤務していく上で高卒と大卒でどれだけ差があるかといえば、ほとんどありません。例えば早稲田、慶應を出ているとしても、先輩の高卒警察官からは「おい、○○、これやっとけ!」「お前何回言ってもわからないなバカか」とか平気で言われます。私が警察官になった頃は高卒採用数のほうが多かったので、大卒警察官にだけ嫌がらせをしてくる高卒の警察官が結構いたものです(現在は大卒採用数のほうが多いのでそういうことはないかと思います)。刑事や公安といった内勤を希望する際にも高卒、大卒は影響しません。
では、高卒と大卒とでどちらで警察官になるべきか? これ絶対に正解はないと思いますが、個人的には大学行ける環境にあるなら大学に行ってから入ったほうがいいと思います。18歳から22歳という人生で最も学んだり遊んだりしたい年代にどっぷり警察の仕事漬けというのは、その後の人生観に大きな影響を受けると思います。価値観が警察社会だけのものですり込まれてしまう感じです。私は大学卒業後、民間企業で営業職として4年間勤務した経験がありましたので、その経験との比較で警察社会のいいところと悪いところが両方見えました。高卒で真っすぐ入った人には、警察社会が全て是と見えてしまうかもしれません。あくまでも私個人の意見です。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。