元国鉄職員が警察に編入された話【元警視庁刑事のコラム】

現在のJR(旧国鉄)が誕生する前、日本の鉄道は「日本国有鉄道(国鉄)」として運営されており、職員は国家公務員でした。その国鉄には、駅構内や電車内の犯罪を取り締まる**「鉄道公安官」**という特別な存在がいました。

鉄道公安官は、一般の駅員や車掌とは異なり、犯罪の予防や犯人の検挙を担う、いわば**“鉄道版の警察官”**のような役割を果たしていました。拳銃の所持も認められており、その権限の強さから「ほぼ警察官」といえる存在だったのです。

ただし、鉄道公安官は最初からその職種として採用されるわけではありませんでした。多くは、駅員や車掌として現場経験を積んだ後、本人の希望や適性によって鉄道公安官へ転身していました。

国鉄民営化で鉄道公安官はどうなった?

1987年の国鉄民営化によって、日本国有鉄道はJR各社へと分割・民営化されました。このとき大きな問題となったのが、鉄道公安官の扱いです。

民間企業となるJRの社員が、これまで通り警察権を持ち、拳銃まで所持することは制度上困難でした。そのため、鉄道公安官の多くは全国の都道府県警察へ編入され、正式な警察官として勤務する道を選びました。

一方で、「自分たちはあくまで国鉄職員であり、警察官ではない」という考えから、警察への編入を希望しなかった人も少なくなかったといわれています。

元鉄道公安官が警察官になるとどうだった?

私は、国鉄から警察に編入された元鉄道公安官の方々を何人も知っています。

もともと駅員や車掌として働いていた方々ですから、一般的な警察官とは少し雰囲気が異なり、物腰が柔らかく、接客業らしい丁寧な対応をする紳士的な方が多い印象でした。

実際、元車掌だったある警察官は、交通検問で車を停止させて運転手に免許証の提示を求める場面で、思わず

「免許証を見せてください」ではなく「切符を拝見します」と言ってしまう

ことがあると笑って話していました。

長年染みついた職業習慣は、そう簡単には抜けないものなのかもしれません。

まとめ

鉄道公安官は、国鉄時代に鉄道の安全を守っていた特別な存在でした。国鉄民営化という大きな時代の転換点で、多くが警察官として新たな道を歩むことになりました。

現在では鉄道公安官という制度は存在しませんが、その役割は鉄道警察隊などの形で受け継がれています。

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淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
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