一般の人が警察について誤解していること
警察官をやってきて一般の人が警察や警察の仕事について思っていることで多い誤解例を挙げてみます。
① 警察は土日祝日も全ての業務をやっている←誤解
土日祝日に当番勤務に当たり、署の受付業務をしていると、1、2時間に1人は「すいません、免許証の住所変更に来ました」という来訪者があります。また、車庫証明の申請に来たり、数日前に亡くしたお落とし物を取りに来る方もいます。休日と夜間は、警察の窓口業務や申請業務は全て休みなので、これらの取扱いはできません。署は開いてはいますが、事件、事故対応と遺失届の提出、今日落として拾われた遺失物の受け取りだけであり、その他の業務はやっていません。市役所や区役所と同じです。
② 警察はお金を返さない相手からお金を回収してくれる←誤解
「知人にお金を貸して1か月後に返すと言われたのに3か月経っても返してくれないので何とかしてください」こういう相談がほぼ毎日あります。警察は取り立て屋ではないので借金の回収はやっていません。債務不履行の相手からお金を差し押さえて回収するのは裁判所の仕事です。また、借金を返さないのは詐欺にはなりませんので被害届や告訴も出せません。
③ 非番は休み←誤解
警察用語の「非番」は休みではなく夜勤明けの日を言います。帰宅できるのは地域で正午近く、刑事や生安は夕方近くです。
④ 被疑者にカツ丼←誤解
私が警察官になった1992年に既にそのようなことは行われていませんでした。実際にあったかどうか不明ですが、あったとしても1970年代以前かと思われます。
⑤ 刑事は必ず二人で動く←誤解
安全上の点から、車でどこかへ行くときはなるべく二人で出かけることが多いですが、近場なら一人で行きますし、電車で出かける場合はほとんど一人です。
⑥ 警察官は大酒飲み←半分誤解
2010年くらいまでは確かに飲みました。年配の係長の机の下には大抵ウイスキーか焼酎の瓶が置いてあり、午後5時15分を過ぎると、湯飲みに入れて飲み出す光景が珍しくありませんでした。またどこの警察署の管内にも警察官御用達のスナックがあり、午前1時や2時まで飲んでそのままスナックで寝て、そこから出勤する人も普通にいました。ところが若い人を中心に徐々に酒を飲まなくなり、コロナ禍がそれにとどめを刺す形で、現在警察署内で酒を飲むことはほとんどありません。同僚たちと帰りに一杯もほぼ無くなりました。歓送迎会もあまりやりません。
⑦ けん銃の1発目は空砲←誤解
これは全くの嘘です。そのようなことはありません。5発入る弾倉に5発全部入ってます。
⑧ 交通取締にはノルマがある←誤解
地域課の職質検挙数は目標数が設定されていますが、交通切符についてはそのような数値目標はありません。ただし、職質検挙もない、交通切符もないとなると「お前は何をしてたんだ」と言われますので、ある程度はやらないとなりません。また、反則金や罰金は全て国庫に入りますので、地方公務員である現場の警察官の給与には全く関係ありません。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。