警察署留置施設の1日

 ほとんどの警察署内に「留置施設」があります。以前は「留置場」と言いましたが、法改正で変わりました。警察官等に逮捕されると必ず入れられる場所です。警察官「等」としたのは、厚生省の麻薬取締官など、逮捕権はあるものの庁舎に留置施設が無い機関は、警察の留置施設を借りて使うからです。なお、検察官が逮捕した場合は、拘置所に入れます。今回は、警察の留置施設に入れられて1日中にいる場合、どのようなスケジュールになるかを書いてみます。
6:30 起床・掃除・点呼
 実際は、その10分くらい前に起こされて、布団を畳んでしまう準備をします。6:30になると、宿直明けの警察官が4~5人起床立ち会いのために入ってきます。順番に居室のドアを開けて、留置人に布団を倉庫にしまわせます。警察官の人数より多く出せないので、一度に全員を出すことはありません。布団を片付け終わると居室内の掃除です。掃除機とぞうきんで床とトイレ内を掃除します。掃除が終わった部屋から、順次洗面と歯磨きです。かゆいからといって頭や足を洗うことは許されません。留置人が20人くらいいると、中には5分くらいかけて歯磨きをする人が2、3人いるのでなかなか終わりません。終了後には点呼を行い人数の確認を行います。
7:00 朝食
 朝食は全員同じ官弁です。白米のごはんとコロッケが1個、スパゲティ若干、インスタント味噌汁といったメニューです。
7:30 運動・入浴
 留置施設内にある運動場という8畳くらいの部屋に出てひげを剃ったり、爪を切ったりします。「運動」とは言っても運動する人はほとんどいません。昔(15年くらい前まで)はここでタバコを一人2本まで吸うことができました。現在は、逮捕されると全く吸うことができなくなりました。入浴がある日は、運動と平行して入浴があります。週に2回入ることができます。
8:00 官本貸し出し
 留置施設内にある署保管の本を1日一人につき2冊貸し出しを行います。小説、マンガ、写真集などいろいろあります。個人の本は、1日何冊でも読むことができます。枕代わりにすると罰として貸してもらえなくなります。
12:00 昼食
 官弁は、パン2個(食パンまたはコッペパン)、マーガリン1袋、ジャム2袋、紙パックのフルーツジュースまたはコーヒー牛乳、揚げ物1個。これ以外に自弁といって、お金のある留置人は自分で弁当やおかずを依頼することができます。牛丼、カツ丼、唐揚げなどですが、警察署によって協力してくれる店が異なるため、メニューはまちまちです。12時から13時の間は、録音のニュースやCDの音楽が流れます。
17:00 夕食
 官弁のみです。白米ご飯、焼き魚、揚げ物といったおかず3点、漬物のメニューです。
20:00 官本回収
20:30 就寝準備・点呼
 朝と逆で、倉庫から布団を自分の部屋に運んで敷きます。終わると洗面と歯磨きがあります。終了後に点呼があります。
21:00 就寝
 留置施設内の明かりを4分の1くらいに落として就寝となります。真っ暗にすると自傷、自死をされてもわからないのでかなり明るい状態です。まぶしいので布団を顔にかける人がいるので、注意して止めさせます。

 いかがでしたでしょうか。やってはいけないことが多く、やれることはそんなに多くはありません。退屈の極みです。こんなところに入ってはいけません。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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