捜査一課、捜査二課、捜査三課、捜査四課【元警視庁刑事のコラム】
警視庁本部(霞が関本庁舎)の刑事部には、捜査一課、捜査二課、捜査三課などの部署があり、それぞれ異なる犯罪の捜査を担当しています。かつては捜査四課も存在していましたが、組織犯罪対策部が設立された際に移管されました。これらの部署がどのような犯罪を扱っているのか、簡単にご紹介します。

① 捜査一課:強行犯事件と特殊事件の捜査
捜査一課は、いわゆる「強行犯」事件を担当します。これには、殺人、強盗、傷害、恐喝、業務上過失致死傷、死体遺棄、性犯罪(不同意性交、不同意わいせつなど)、略取誘拐、放火、失火などが含まれます。また、航空機事故やガス爆発、医療過誤、食中毒などの特殊犯にも対応しています。捜査一課は刑事部内で最も注目される部署とされ、赤いバッジに憧れる刑事も多いです。
捜査一課内には、**SIT(特殊急襲部隊)という特別部隊もあり、立てこもり事件などの緊急対応を行います。これらの事件は通常、警備部のSAT(特殊部隊)**とは異なり、迅速な対応が求められます。また、医療過誤事件に対応するために、医師免許を持った刑事も在籍しています。
② 捜査二課:知能犯と選挙違反事件の捜査
捜査二課は、知能犯(詐欺、横領、背任、贈収賄など)や選挙違反を担当します。主な罪状としては、贈収賄、詐欺、横領、背任、偽造通貨、公職選挙法違反が含まれます。また、財務捜査官として、元公認会計士などの経歴を持つ刑事もいて、経済犯罪に関する捜査に特化しています。特に、オレオレ詐欺が流行したことから、捜査二課は増員され、現在も活発に活動を行っています。
③ 捜査三課:侵入窃盗や自動車盗の捜査
捜査三課は、侵入窃盗(空き巣や事務所荒し)や自動車盗、スリといった窃盗事件を担当しています。スリ犯を専門に捜査する「モサ」チームがあり、彼らは毎日ラフな服装で繁華街や電車内などで犯人を探し続けています。万引きや置き引きといった軽犯罪ではなく、窃盗常習者による本格的な盗難を追跡しています。
④ 捜査四課(現在は組織犯罪対策部に統合)
捜査四課は、かつて暴力団事件を担当していた部署です。1990年代までは、柔道や剣道の高段者が多く、強面の刑事が特徴でした。特に、パンチパーマをかけた刑事も多かったことで知られていますが、現在は組織犯罪対策部に統合され、暴力団対策を行っています。
警視庁捜査一課記章
旧記事
警視庁本部(霞が関本庁舎)刑事部には、捜査一課、捜査二課、捜査三課等があります。かつては捜査四課もありましたが、組織犯罪対策部ができた際にそちらに異動しました。これらの課が何をやっているか知らない方が多いと思いますので簡単にご紹介したいと思います。
① 捜査一課
いわゆる「強行犯」事件を扱います。罪名で言いますと、殺人、強盗、傷害、恐喝、業務上過失致死傷、死体遺棄、性犯罪(不同意性交等、不同意わいせつ)、略取誘拐、放火、失火などです。また、これらの他、特殊犯と言われる航空機事故、ガス爆発、医療過誤、食中毒なども扱います。刑事部の中では「花形」と言われ、赤いバッジに憧れる刑事も少なくありません。「平塚八兵衛」という昭和の名刑事と言われる有名な刑事がいたのもこの捜査一課です。私自身はこの方を全く知りませんが、一緒に仕事をした人に聞いた話しでは、今で言うパワハラだったそうです。
また、この一課内にSIT(シット)と呼ばれる特別部隊があります。立てこもり事件などに対応する部隊です。SAT(サット)と紛らわしいのですが、SATは警備部所属で別部隊です。
医療過誤事件を担当する医師免許を持った刑事もいます。
② 捜査二課
いわゆる「知能犯」事件と選挙違反を扱います。罪名で言うと、贈収賄、詐欺、横領、背任、偽造通貨、公職選挙法などになります。財務捜査官として、元公認会計士の刑事が何人もいます。一時期課員数を減らす予定があったのですが、オレオレ詐欺が大流行したため、逆に増員されました。
③ 捜査三課
泥棒を捕まえる部署です。泥棒といっても万引きや置き引きなどではなく、侵入窃盗である空き巣や事務所あらし、スリ、自動車盗などになります。スリ犯係は「モサ」と呼ばれ、毎日ラフな服装を着て電車内や繁華街でスリ犯を探しています。
④ 捜査四課(現在はありません)
組織犯罪対策部ができるまでは刑事部内にあり、暴力団事件を扱っていました。柔道や剣道の高段者が多く、顔もいかつく、1990年代くらいまでは、パンチパーマをかけている刑事も珍しくありませんでした。
※追記
当事務所のコラムで一番閲覧数が多いのがこのページです。捜査一課が殺人など強行犯で、捜査二課が知能犯なのは昔の人は常識として知っていました。そこでなぜ最近多くの人が捜査一課や捜査二課を検索してここにたどり着くのか考えてみました。結論はマスコミの報道のやり方だと思います。2010年頃までは、警察本部が事件を検挙すると、マスコミは「××県警捜査〇課が××市で起きた××事件犯人を逮捕しました」と報道していたのですが、それ以降は「捜査〇課」の部分を一切報道しなくなったのです。理由はわかりませんが、これでは一般の人が捜査〇課が何事件担当かわからないのは当然ですよね。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
