職務上請求書と捜査関係事項照会書の違い
行政書士になると行政書士会から「職務上請求書」という書類を売ってもらえます。これは、行政書士がお客様から依頼を受けた申請業務に関して必要な「住民票」と「戸籍謄本」を市町村役場窓口において、名義人の委任状なく交付してもらえる少しだけ便利な書類です。公務ではないので、交付料金は一般の方と同じく支払が必要です。
一方、刑事が使うのは「捜査関係事項照会書」です。この文書1本で、住民票や戸籍謄本はもちろんのこと、不動産や法人の登記簿、携帯電話番号の使用者に関する個人情報、銀行口座の取引明細、銀行ATMの引き出し時画像、IPアドレスの使用者情報、裁判記録、クレジットカード利用明細、町会が設置した街頭防犯カメラ画像、海外渡航歴、スイカやパスモの利用履歴等々、社会生活におけるありとあらゆるものを照会して回答を得ることができる、魔法のような文書なのです。公務なので基本的に料金も発生しません。
自ら警察を辞めておいて何ですが、万能の捜査関係事項照会書からたった二つの書類しかもらえない職務上請求書への道具の持ち替えは、やはり寂しいものがあります。いかに警察の権限が大きかったのかと身にしみて感じます。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。