制服警察官が勤務中に生放送のテレビ番組で1曲歌った話【元刑事のコラム】

警察学校時代、私の担当教官だったS教官は、とても個性的でユニークな人物でした。今回は、そのS教官から直接聞いた、昭和の警察官ならではの驚きの実話をご紹介します。

S教官がまだ警察官になりたてで、交番勤務をしていた1970年前後のことです。当時、都内の商店街を自転車で警ら(パトロール)していたところ、突然あるテレビ局の生放送番組のロケに遭遇しました。

アナウンサーがマイクを持って近づいてきて、

「おまわりさーん、こんにちは!」

と声をかけてきたそうです。

普通の警察官であれば、勤務中ですから軽く会釈をしてその場を離れるか、「勤務中のため失礼します」と対応するのが一般的でしょう。

しかし、S教官は違いました。

もともと目立つことが好きな性格だったS教官は、自転車を止めて笑顔で

「はい、何でしょう?」

と応じたそうです。

するとアナウンサーは、

「○○テレビの生放送中です。全国の視聴者の皆さんに向けて、一曲お願いします!」

と、まさかの無茶ぶり。

今なら考えられない展開ですが、S教官はその場の勢いで有頂天になり、なんと勤務中、制服姿のままテレビの生放送で1曲熱唱してしまったそうです。曲は演歌だったとのことですが、具体的な曲名は残念ながら忘れてしまいました。

勤務中にテレビ出演…警察官は処分されるのか?

歌い終えて警らに戻ったS教官は、急に我に返ったそうです。

「しまった……勤務中に制服で歌ってしまった。これはクビかもしれない……」

当時の本人は本気でそう覚悟したとのこと。

ところが、交番に戻っても、警察署に戻っても、上司から何のお咎めもありませんでした。

理由は単純で、その番組が昼間の主婦向け生放送番組だったため、警察関係者で視聴していた人がほとんどいなかったらしいのです。

今のようにSNSもネットニュースも存在しない時代ならではの話でしょう。

現代なら間違いなく炎上?時代で変わる警察官のコンプライアンス

もし現在、勤務中の警察官が制服姿でテレビの生放送に出演し、その場で歌を披露したらどうなるでしょうか。

おそらく数分以内にSNSへ動画が投稿され、X(旧Twitter)やニュースサイトで一気に拡散するはずです。

「勤務中に何をしているのか」
「公務員として不適切では?」
「警察の規律はどうなっている?」

こうした批判が殺到し、何らかの指導や処分の対象になる可能性は高いでしょう。

しかし、このエピソードは単なる笑い話ではありません。

昭和の警察と現代の警察では、社会の目、コンプライアンス意識、情報拡散のスピードがまるで違うことを象徴するエピソードともいえます。

昔の警察官のリアルな実話として、非常に印象深い話でした。

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淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
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