制服警察官が勤務中に生放送のテレビ番組で1曲歌った話【元刑事のコラム】

 警察学校で私の担当教官はS教官というとてもユニークな方でした。このS教官が警察官に成り立ての交番勤務時代(1970年前後)、都内の商店街を自転車で警らしていたところ、あるテレビ局の生放送番組で、アナウンサーがマイクを持って立っており、S教官に「おまわりさーん、こんにちはー」と声をかけ、マイクを向けてきたそうです。普通の警察官なら無視するか「ただいま本職は勤務中なので失礼します」などと言って走り去るところ、KKS大学言動部出身で、目立ちたがり屋のS教官は「はい、何でしょう」と立ち止まったのです。するとアナウンサーが「おまわりさん、○○テレビの○○という番組です。現在生放送中ですが、テレビをご覧の全国の方に向けて一曲お願いします。」と言ってマイクを向けてきました。S教官は、後先のことは考えず、有頂天になって1曲歌ったそうです(曲名は聞きましたが忘れてしまいました。たしか演歌だったように思います。)。
 歌い終わって警らに戻ってから、「しまった、勤務中に制服で歌ってしまった。あー、俺はもうクビだ。」と覚悟を決めたそうです。しかし、交番に戻っても、警察署に戻っても、誰からも何も言われなかったそうです。昼間の主婦向け番組だったため、警察官で見ていた人がほとんどいなかったらしいとのことでした。現在だったら、ネットニュースやSNS上であっという間に拡散し、「勤務中なのにけしからん」ということで、間違いなく何らかの処分を受けたことでしょう。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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