警察官の超過勤務(残業代)計算方法【元警察官が解説】

 警視庁では、超過勤務や祝日勤務などが発生した場合、勤務時間に応じて超過勤務代を請求できます。2020年頃までは、手書きの請求用紙で請求して上司の決裁を受けていましたが、現在はパソコン入力による自動計算&システム決裁になっています。超過勤務代の計算方法について簡単に解説します。
 日勤日の勤務時間は、8:30~17:15となっています。したがって17:15以降も勤務を続けた場合は超過勤務が発生することになります。建前上は、課長が「はい、今日は○○巡査は○○事件捜査のため2時間超過勤務」「××巡査部長は××事件捜査のため3時間超過勤務」などと、課員一人ずつに超過勤務を命じることになっていますが、何十人といる課員の仕事内容を一々把握なんてできませんので、実際には各課員が自分の判断で超過勤務を行うことがほとんどです。19:15まで勤務を続けた場合は2時間の超過勤務を請求することになります。超過勤務代は月末に1ヶ月分をまとめて請求する形になっており、仮に30時間請求した場合の支払い額は、30時間×4000円(50歳代警部補クラスの時給)×0.6(支給調整)=7万2000円となります。30歳代巡査部長だと30時間×3000円×0.6=5万4000円です。
 非常においしいのが、祝日勤務代です。祝日が当番勤務に当たると休憩時間を除く勤務時間の全てを祝日勤務代として請求できます。刑事や生活安全など、内勤警察官は8:30から翌朝9:30までの25時間勤務で、休憩時間が9時間ありますので、14時間×4000円(50歳代警部補の場合)×1.0(調整なし)=5万6000円となり、1日当番勤務に就くだけでこれだけもらえます。運良くひと月に2回祝日の当番勤務に当たれば、それだけで11万2000円になり、それ以外の超過勤務代を合わせると20万円を超える場合もあります。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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