京都府警察の厳しい掟「帰宅時3回ルール」【元刑事が解説】

 2010年頃、警視庁生活安全部生活経済課で勤務していた当時、京都府警の生活経済課から1年間の研修で警視庁に派遣されてきたY巡査部長と一緒に勤務する機会に恵まれました。ある日、Y部長と一緒に首都高速で都心のビル群の中を走っていた際、Y部長が「いやあ、今まで京都が日本一の大都会やと思ってましたが、やっぱり東京には勝てまへんなあ」と言いました。冗談なのか、皮肉なのか、本音なのかわかりませんでしたが、おそらく京都人以外で東京に来てこんなこと言う人はいないだろうなと思い、とても面白く感じ、今でもよく覚えています。また、あるとき、犯人のことを「ホシ」と言ったら(注:関東地方の警察官では当たり前です)、「何ですかそれ、ホシって?!」と興奮して聞いてきたので、「いや、被疑者のことですけど、京都じゃ言いませんか?」と聞き返すと「そんなん、ありえまへん、何ですかホシって。おかしくないですかホシって?うちら野郎としか言いまへんで、絶対おかしいですわそれ」とずっとしゃべり続けていました。
 こんなY部長から聞いた話でもう一つ忘れられない話があります。京都府警では勤務終了時に「3回ルール」があるというのです。定時の勤務時刻を過ぎた後、上司から「おい、○○主任、今日はもう帰ってええで」と言われたら、「はい、ありがとうございます」と答えて、そのまま仕事を続ける。しばらくして「○○主任、帰ってええで」「はい、ありがとうございます」と同じ繰り返し。そして、またしばらくして「○○主任、帰ってええで」と3回目を言われて、「はい、今日はこれで失礼します。お疲れ様でした」と言って帰っていいのだそうです。もし、2回目の「帰ってええで」で帰った場合、翌日、職場内では「○○主任は昨日2回目で帰ったらしいで」との噂が広がり、その主任は周りから白い目で見られるようになるとのことでした。京都府警おそるべしです。ちなみに、警視庁にはこのような慣習はありません。私なら1回目の「帰っていいぞ」を言われた瞬間、1分以内に帰宅します。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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