警察官の古い制服の思い出

 現在の警察官の制服は1994年に新しく制定されたものです。私はその前の2年間だけ、その前の古い制服を着て仕事をしていました。新旧制服の違いについて説明します。
 古い制服は、盛夏略衣(せいかりゃくい)と呼ばれた夏服とそれ以外の季節に着る制服と2種類しかありませんでした。帽子は年間通じて同じものをかぶっていました。帯革(たいかく)というけん銃などを吊る太いベルトは上着の上から締めるタイプでした。そしてこの帯革には追革(おいかわ)と呼ばれる片方の肩に斜めにかける革紐がありました。この追革は今の制服にはありませんが、古い制服時代に生まれたピーポ君にはそのまま残っています。この追革ですが、長時間勤務すると肩がこるので新しい制服で廃止されたことで皆喜んでいた記憶があります。警棒は現在の伸縮式とは違い、ただの樫の木の棒でした。これが長くて非常に邪魔なので、パトカーを運転するときには一々外して乗っていました。
 新しい現在の制服に変わったときは、その種類の多さに驚きました。まず、季節に合わせて冬服、合服(春秋用)、夏服と3種類あります(現在合服は廃止)。帽子もそれに合わせて3種類あります。そしていわゆる通常の背広式の制服に加えて、上着には「活動服」という背広とジャンパーの中間のような丈の短い上着が加わりました。活動服着用時には活動服用の簡略化された帽子をかぶることになりました。そしてこの活動服にも冬服、合服がありました。これだけ種類があるので、全部はとてもロッカーに入れることはできず、着ないものは全部自宅で保管していました。帯革は上着の外側ではなく、ズボンのベルトの上に着装するようになり、外からは見えなくなりました。警棒は金属式の3段伸縮式になり、付けたままでもパトカーに乗れるようになりました。階級章も変わり、それまでは襟に2個付けていたものが胸に一つだけ付けるようになりました。この新しい階級章ですが、制服が変わった直後は、上下逆さまに付ける警察官が結構いました。新しい制服は、濃い灰色だった旧制服の色からすればだいぶ明るい青色になったことから、変更当初はヤクザやチンピラから「なんだおまえらガードマンか?」と随分からかわれたものです。
 新しい制服になり、概ね便利で快適になりました。ただし一つだけ古い制服のほうが便利だったことがあります。古い制服の帯革は上着の上に着装し、かつ追革があったことから、帯革を外さなくてもそのままトイレで大ができました。現在は、帯革を完全に外さないと大は厳しいのです。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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