交番や警察署にお礼のお菓子などを渡すのは迷惑?【元警察官の解説】
私が警察官になったばかりの1990年代前半は、下町の駅前交番にある冷蔵庫の中は、付近のお店や住民の方々からいただいたお菓子やら果物などがいっぱい入っていました。ほとんど毎日もらうので、報告も要らず、交番勤務員で分け合っていただいていました。年末になると、ミカンを箱ごといただいたりして、パトカーで本署に上げてみんなに配ったりしていました。
その後はこうした差し入れは徐々に減るとともに、内規が厳しくなって原則的には「受け取るな」ということになり、町会や、昔からずっと持ってきてくれる古参の住人などは例外的に受け取っていいとなりました。問題なのは、受け取った場合、くれた人の住所や氏名、職業などを調べて記載し、署長までの決裁を受けなくてはならなくなったことです。地域課ですと、交番から上がってきた非番日(夜勤明けの日)に決裁を受けることが多く、一睡もしていなくて1分でも早く帰宅したいのに、この決裁待ちで1時間も2時間も帰宅が遅れることがあり、内心「勘弁してくれ、もう二度と差し入れ品持ってこないでくれ」と思ってしまいます。しかも、やっと決裁が終わった結果、いただいたお菓子は幹部に配られ、こっちには一つも回ってこないということが珍しくありませんでした。もしも、このコラムを読んだあなたが、警察に何かのお礼で菓子折などを渡そうと思うことがあったら、どうぞお気持ちだけで結構ですので、止めていただきたいと思います。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
