警察官の武器使用について【元刑事が解説】

「日本の警察官はどんな武器を持っているのか?」
ニュースで警察官のけん銃使用が報じられることがありますが、実際に警察官がどのような武器を装備し、どれくらい使用しているのかを知る人は多くありません。

元警察官として32年間勤務した経験をもとに、日本の警察官の武器事情についてわかりやすく解説します。

警察官が武器を持てる法的根拠

警察官が武器を所持・使用できる法的根拠は、警察官職務執行法第7条にあります。
この法律により、警察官は職務を遂行するため必要な場合に武器を使用することが認められています。

ただし、自由に使えるわけではなく、厳格なルールのもとで運用されています。

制服警察官(交番勤務・パトカー乗務員)の主な装備

交番勤務員やパトカー乗務員などの制服警察官が通常装備している主な武器は次のとおりです。

  • けん銃
  • 警棒
  • 催涙ガス

なお、手錠も常時装備していますが、これは逮捕した被疑者の逃走防止や身柄拘束のための器具であり、武器には分類されません。

このほか、必要に応じて使用する装備として以下があります。

  • 警杖(けいじょう)
    約1.3メートルの木製の棒で、暴徒対応などで使用
  • 盾(たて)
    防御用装備
  • 刺股(さすまた)
    危険人物の制圧に使用

これらは常時携行するものではなく、交番やパトカーに備え付けられ、必要な場面で取り出して使用します。

刑事など私服警察官は普段武器を持っているのか?

刑事や捜査員などの私服警察官は、通常は武器を携帯していません。

ただし、

  • 家宅捜索(ガサ入れ)
  • 被疑者の逮捕
  • 危険人物への対応

といった状況では、必要に応じて

  • けん銃
  • 特殊警棒

などを携行することがあります。

つまり、日本の警察官すべてが常に武器を持ち歩いているわけではありません。

日本の警察官は実際に武器を使うのか?

元刑事として32年間勤務しましたが、私は一度も武器を使用したことがありません。

  • けん銃を撃った経験:なし
  • 警棒を使用した経験:なし

これは決して珍しいことではありません。

私の知る限りでも、実際に犯人へ向けてけん銃を発砲した警察官はほぼいませんでした。警棒を使用した警察官もごく少数です。

つまり、日本の警察官にとって武器の使用は極めて例外的な対応だということです。

日本警察にテーザー銃は必要なのか?

ネット上では、

「日本の警察もアメリカのようにテーザー銃を導入すべきでは?」

という意見を見かけます。

しかし、日本の現場警察官の感覚としては、現行装備である

  • けん銃
  • 警棒
  • 催涙ガス

で十分対応できるケースが大半です。

また、テーザー銃は「非致死性武器」と呼ばれることがありますが、完全に安全とは言い切れません。

心疾患などの持病がある相手に使用した場合、重大な結果につながるリスクもあります。

もし死亡事故が発生すれば、

  • 世論の強い批判
  • 使用した警察官の精神的負担
  • 運用ルールの厳格化

といった問題も起こり得るでしょう。

日本の警察官が武器をほとんど使わない理由

日本の警察官が武器を使用する場面が少ない最大の理由は、日本の治安の良さです。

諸外国と比べても、日本では警察官が日常的に武器を使う必要がある場面が非常に少ないのが現実です。

これは、日本の安全性の高さを示す一つの特徴と言えるでしょう。

まとめ

日本の警察官が装備する武器には、

  • けん銃
  • 警棒
  • 催涙ガス
  • 警杖
  • 刺股

などがあります。

しかし、実際に使用される機会は非常に少なく、多くの警察官は定年まで一度もけん銃を使わずに勤務を終えます。私自身もその例外ではありません。32年間の警察勤務で武器を使ったことは一度もありません。

「日本の警察官=常に武器を使う存在」ではなく、“ほとんど使わずに済む社会”こそが日本の特徴なのです。

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淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
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