警察署勤務と本部(本庁)勤務はこんなに違います【元警察官が解説】
警察学校を卒業すると全員が警察署に配属され、交番勤務からスタートします。その後、成績が優秀だったり、巡査部長に昇任するなどして上司に認められると本部にご栄転となります。本部には警務部、総務部、刑事部、警備部、交通部、生活安全部などがあります。結論から言うと、警察署勤務に比べて本部勤務は圧倒的に楽です。どれだけ楽かを列記してみたいと思います。
1.宿直勤務が少ない
交番勤務は、警視庁の場合は4日に1回、他府県警は3日に1回宿直勤務があります。眠れないことがほとんどです。刑事など内勤員も1週間に1~2回宿直勤務があります。本部にも宿直勤務はありますが、1か月から2か月に1回程度です。しかも夜間は布団で眠れます。
2.通報で現場に行くことがない
警察署で勤務していると、毎日毎日110番や通報、訴え出などで各種事件、事故が次々と入りますので、深夜でも台風でも現場に行って扱わないとなりません。本部勤務員は通報で現場に行くことはありません(捜査一課などを除く)。
3.一般人と会う機会が少ない
警察署にいれば毎日各種の訴え出や相談に来る人がいますので、これに対応しないとなりません。本部勤務では、相談センターや広聴課(苦情対応部署)など一部の所属を除き、一般人と会う機会はほとんどありません。
4.暦通りの休みが取れる
警察署は内勤も外勤も交代制勤務です。何日かに1回宿直勤務に就かなければならず、正月や連休の中日に出勤となることもあります。本部は土日祝日は宿直勤務に当たらない限り休みです。GWや年末年始も全て休みです。
5.夜間や休日の呼び出しがない
本部は、捜査一課などを除き、夜間や休日の急な呼び出しがありません。
6.柔道・剣道などの練習に出なくていい
警察署では毎朝道場で訓練が行われており、最低でも月に1回は参加しないとなりません。本部にも道場はありますが、行かなくても何も言われません。
7.比較的優秀な人が多い
本部には優秀な人しかいけませんので、問題児やパワハラ上司は少ない傾向があります(全くいない訳ではありません)。
8.主幹業務だけをやればいい
警察署にいると、事件、事故、変死、子供の所在不明、許認可、落とし物、各種相談、免許事務等々ありとあらゆる取扱をしないとなりません。本部は、その所属が取り使う分野の仕事だけをすることになります。例えば、捜査二課選挙係に配属されれば、ひたすら選挙に関する業務だけを取り扱い、他の業務は一切しません。
このように、警察署と比べると本部勤務は非常に恵まれており、警察官であれば誰もが希望します。しかし、警察官の定期異動は5年と決まっており、本部に異動しても5年後には警察署勤務に戻らないとなりません。同じ階級では再び本部に異動することはないので、戻りたければ昇任して階級を上げないとなりません。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
