警察が困る110番通報【元警視庁刑事のコラム】
「困ったことがあれば、とりあえず警察に電話」と考える方は少なくありません。もちろん、事件や事故、緊急事態なら警察への通報は正しい判断です。
しかし、警察には法律上の権限や業務範囲があり、通報しても対応できない相談というものが実際にあります。
私が現役時代、毎日のように「それは警察では解決できません」という通報を受けていました。今回は、実際によくあった事例を紹介します。
1.ヘリコプターの騒音がうるさい
年末の特番などでテレビ局のヘリコプターが都心上空を飛行している際、
「うるさいから何とかしてくれ」
という通報が大量に入ることがありました。
しかし、警察が飛行中の民間ヘリコプターに直接連絡して飛行を止めさせることはできません。
騒音に関する苦情は、航空会社や関係機関への相談が適切です。
2.ヘビや野生動物が出た
「庭にヘビが出た」
「アライグマがいる」
「ハクビシンが出没して怖い」
こうした相談もありますが、普通に生息している野生動物に対し、警察が駆除や捕獲を行うことは基本的にありません。
自治体の環境課や害獣対応窓口への相談が適切です。
3.ノラの子猫・子犬・小鳥が弱っている
動物を助けたい気持ちはよく分かります。
しかし、警察が税金で動物病院の治療費を負担することはできません。
保護したい場合は、ご自身で動物病院や保護団体へ相談する必要があります。
4.大雨で地下や自宅に浸水している
「地下室に水が入ってきた」
「雨水が止まらない」
こうしたケースでは、警察に雨を止めたり排水したりする能力はありません。
緊急性がある場合は消防、設備トラブルなら管理会社や自治体への連絡が現実的です。
5.車が故障・ガス欠で動かないので駐車違反にしないでほしい
「故障しただけだから取り締まらないでほしい」
気持ちは分かりますが、道路上に放置されれば交通の妨げになります。
速やかにJAFやロードサービスを呼んで移動してください。
6.公園で遊ぶ子どもの声がうるさい
「子どもの声がうるさいから注意してほしい」
公園は子どもが遊ぶ場所です。
警察が「静かに遊べ」「無言で遊べ」と強制することはできません。
危険行為や迷惑行為なら別ですが、単なる生活音への苦情は警察の対応範囲外です。
7.学校や幼稚園の運動会の音がうるさい
運動会の放送や音楽への苦情もあります。
しかし、正規の学校行事に対して警察が介入するケースは通常ありません。
まずは学校や園に直接相談するのが適切です。
8.マンションの隣人のタバコが臭い
「ベランダのタバコの臭いが入ってくる」
これは集合住宅でよくあるトラブルです。
ただし、喫煙そのものは法律で禁止されているわけではありません。
警察が「タバコを吸うな」と命令することはできません。
管理会社や管理組合への相談が一般的です。
9.上階の足音がうるさい
「上の階の歩く音がうるさい」
これも典型的な近隣トラブルです。
警察が「歩くな」と命じることはできませんし、歩き方まで指定できません。
継続する場合は管理会社や民事対応が基本になります。
10.コインパーキングに停めた車の場所を忘れた
「車をどこに停めたか分からない」
警察官に聞かれても分かりません。
これはご自身で探していただくしかありません。
11.昨日テレビで紹介された美味しい店を教えてほしい
「昨日テレビでやってたラーメン屋どこ?」
警察官は飲食店案内係ではありません。
すべてのテレビ番組を見ているわけでもなく、地域の全店舗を把握しているわけでもありません。
12.夫に殴られたが被害届は出したくない
DV相談は深刻な問題です。
ただし、
「殴られた。でも被害届は絶対に出さない」
と言われると、対応の選択肢が限られます。
身の安全確保や相談対応は可能ですが、何を求めているのか明確に伝える必要があります。
13.知人がお金を返してくれないので取り立ててほしい
「貸したお金を返してくれない」
これは典型的な金銭トラブルです。
単なる民事上の貸し借りであれば、警察は取り立てをしません。
詐欺の可能性があるなら別ですが、基本は弁護士や裁判所での対応になります。
14.連絡が取れない知人を探してほしい
「友人と連絡が取れない」
「知人の家を見てきてほしい」
警察は探偵ではありません。
ただし、事件・事故の可能性や行方不明の事情がある場合は別です。
単なる「連絡がつかない」というだけでは対応が難しいことが多いです。
まとめ|警察は万能ではありません
警察は犯罪捜査や事故対応、治安維持の専門機関です。
しかし、
- 近隣トラブル
- 民事トラブル
- 動物対応
- 生活上の困りごと
まで、すべてを解決できるわけではありません。
本当に警察が対応すべき案件なのかを考えてから相談することで、緊急通報が必要な人への対応もスムーズになります。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


