万引きがやめられないのは精神疾患の可能性が高いです【元刑事が解説】
F警察署にいた当時、毎月万引きして捕まってくる高齢女性(70歳代)がいました。この女性、70歳になるまでは何の犯罪歴もなかったにもかかわらず、突然万引き常習者になってしまいました。しかも万引きするのは決まって近所の同じスーパーで、店員にも保安員にも顔を知られているので、警戒されてすぐに犯行を現認されてあっさり捕まってくるのです。それなのに毎回必ず「やってない。お金を払うつもりだった。」と否認します。夫には先立たれ、子供は別居で一人暮らしをしていました。何度か送致しましたが、認知症が始まっているため、検察官も起訴しませんでした。
I警察署では、逆に若い女性で、これまた毎月のように捕まってくる常習者がいました。最初に捕まったのは10代後半で、最後に捕まったときは22歳でした。身長は普通でしたが、体重は30キロそこそこしかない拒食症の人でした。万引きする商品は、決まって弁当、パン、スイーツだけでした。万引きする理由は「食べてもどうせトイレで吐くので、買うのがもったいない」という何とも自分勝手なものでした。「食べ物を摂取したくはないが、味だけは楽しみたい。」とも言っていました。両親と兄弟がいましたが、完全に見放されていました。最後に捕まって逮捕された後、留置施設内でも食事を食べては吐くを繰り返し、栄養失調で倒れ、釈放されて病院に入院しましたが、そのまま亡くなりました。
このように、捕まっても捕まっても万引きをやめられない場合、クレプトマニア(窃盗症)という精神疾患の可能性があります。病気ですから治療を受けないと治りません。刑務所に行っても、出てくればまたやります。最近は専門の治療施設がありますので、家族の方や保護者の方は連れて行って治療を受けさせてほしいと思います。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
