警察官と印鑑【元刑事が解説】
犯罪捜査規範の規定により、警察官は、作成した捜査書類に署名・押印した上、各ページごとに契印をしないとならないとされています。つまり、3ページの書類なら3カ所、500ページの書類なら500カ所押印しないとならないことになります。実際、スマートフォンの解析報告書などでは、数百ページになることが珍しくなく、印鑑を押すだけで1時間以上かかることもあります。そんな、警察官にとってなくてはならない印鑑ですが、実は登録制ではありません。犯罪捜査規範においても、「押印は認印とする」とわざわざ記載してあります。本来、印鑑は本人確認のためのものだと思うのですが、登録制でないということは、本人確認の効果は全く期待できません。私も、現役時代は百均で買った「浅利」の丸印を使っており、欠けたりするとまた百均で新しいものを買って使っていました。つまり、同じ事件の捜査書類であっても、作成した時期で印鑑が異なっていたことになります。しかし、警察官の押した印影について照合などする機会は一切なく、裁判で問題となったという話も聞いたことがありません。そんな、押してさえあればどうでもいいという「印鑑」を押しつつけなければならない理由はあるのでしょうか?
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
