昔の新宿警察署刑事課の話【元刑事が解説】

 2003年に組織犯罪対策部門ができる前の警視庁新宿警察署の刑事課は、課員が120人以上いました。課長一人では無理なので、第一課長と第二課長と、課長が二人いました。二人とはいっても一人当たり60人ですから人事管理だけで手一杯だったと思われます。そこにきて新宿警察署の忙しさは尋常ではありません。2年ほど前に、新宿警察署の110番件数を調べてみたことがあるのですが、多いと1日当たり200件を超えることがありました。これは青森県警全体の110番件数より多いといえば、どれだけ新宿警察署が忙しいか分かるかと思います。
 私自身は新宿警察署に配属されたことはないのですが、警察学校同期生が新宿の刑事課に勤務していたことがあり、そのときに「120人以上もいて、しかも出たり入ったりが激しいので、1年以上経っても全員の名前と顔を覚えられてない。これからも覚えられないだろう。」と言ってました。刑事課員が数人の地方警察署からすれば考えられないことでしょう。
 また、その同じ同期生からこんな話も聞きました。ある当番(宿直)勤務の夜中に3対4のケンカで7人全員現行犯逮捕したことがあったそうです。共犯者やケンカ相手は同じ警察署の留置場には入れられないので、7人全員別々の警察署に入れないとなりません。当時は東京拘置所が工事中で警察署の留置場は満杯状態で、7人のうち1人は青梅警察署になったそうです。これがどういうことかというと、青梅警察署は東京23区外なので、留置係が東京地検立川支部まで身柄送致してくれません。新宿警察署員が早朝というか深夜に青梅警察署に行って犯人を車に乗せ、霞が関の東京地検まで送り届け、検察官の取調べが終わったら、再び山奥の青梅警察署まで戻さないとならないのです。新宿警察署恐るべしです。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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