適正な令状請求について
適正な令状請求について
このたび、次により適正な令状請求について定め、平成16年7月16日から実施する
こととしたから、運用上誤りのないようにされたい。
おって、逮捕権等の運用について(昭和42年9月21日通達甲(刑.総.指1)第6
号)は、廃止する。
記
第1 目的
この通達は、強制捜査を実施するために必要な令状請求(犯罪捜査のための通信傍受
(
)
に関する法律 平成11年法律第137号 第4条の規定による傍受令状の請求を除く
以下同じ )について、捜査上の必要性と国民の基本的人権の尊重との均衡を図り、そ
。
の適正を図るため必要な事項を定めることを目的とする。
第2 準拠
。
令状請求については、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号 、刑事訴訟規則(昭
)
)
和23年最高裁判所規則第32号 、犯罪捜査規範(昭和32年国家公安委員会規則第
)
2号 、警視庁司法警察員等の指定に関する規則(平成5年2月2日東京都公安委員会
規則第2号。以下「指定に関する規則」という 、犯罪捜査規範実施細目(平成15年
。)
4月1日通達甲(副監.刑.総.指)第6号)等によるほか、この通達の定めるところ
による。
第3 幹部による指揮監督の徹底
指定に関する規則第3条の規定により、令状請求をすることができる司法警察員とし
て指定を受けた者(以下「指定司法警察員」という )及び事件を担当する捜査主任官
。
。
(以下「捜査主任官」という )は、その責任を自覚し、自ら事件の核心を十分に把握
するとともに、指揮監督を徹底して令状請求の適正を期するものとする。
第4 基礎捜査の徹底
事件を担当する捜査員は、令状請求を行うに当たり、次により基礎捜査を徹底して行
い、証拠を収集して疎明資料を作成し、整備するものとする。
1 犯罪の日時及び場所、犯行の手段及び結果等を捜査して、被疑者が罪を犯したこと
を客観的に明らかにすること。
2 犯罪構成要件及び訴訟条件の充足、違法性阻却事由の有無等を捜査し、法令の適用
について誤りのないようにすること。
3 被疑者と被疑事実との関連性を捜査し、特に被疑者の人定事項について誤認の防止
に努めること。
4 30万円(刑法(明治40年法律第45号 、暴力行為等処罰に関する法律(大正
)
)
(
15年法律第60号 及び経済関係罰則の整備に関する法律 昭和19年法律第4号
の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる軽
微な罪の被疑者の逮捕状を請求する場合には、被疑者が定まった住居を有しないこと
又は正当な理由がなく、任意出頭の求めに応じないことを明らかにすること。
)
5 犯罪少年について逮捕状を請求する場合には、少年の年齢、犯罪の軽重、保護者の
監護能力、生活状態、非行性等をよく把握し、逮捕の必要性を明らかにすること。
第5 令状請求の審査責任者
1 令状請求に係る疎明資料の審査を行う責任者(以下「審査責任者」という )は、
。
次のとおりとする。
(1) 警視庁本部の事件主管課(以下「本部事件主管課」という )にあっては、課長
。
代理又はこれに相当する者
(2) 警察署にあっては、事件を主管する課長(島部警察署にあっては次長)
2 審査責任者が不在の場合は、本部事件主管課にあっては係長又はこれに相当する者
が、警察署にあっては事件を主管する課長代理又は本署当番責任者がその職務を代行
するものとする。
第6 令状請求者
1 通常逮捕状の請求は、本部事件主管課又は警察署の事件を主管する課の指定司法警
察員(島部警察署にあっては次長)が行うものとする。ただし、夜間及び休日等で当
該指定司法警察員が不在の場合は、本署当番責任者等の他の指定司法警察員が請求す
ることができる。
2 緊急逮捕状その他各種令状の請求は、本部事件主管課及び警察署の事件を主管する
課の指定司法警察員(島部警察署にあっては次長)が行うものとする。ただし、夜間
及び休日等で当該指定司法警察員が不在の場合は、本署当番責任者等他の指定司法警
察員又は事件を担当する捜査員のうち最上級者が請求することができる。
なお、指定司法警察員以外の者が令状請求をする場合には、必ず、事前に審査責任
者の指揮を受けること。
第7 疎明資料の審査
審査責任者は、令状請求に関して、疎明資料を綿密に審査し、次により適正な令状請
求に努めるものとする。
1 疎明資料の審査に当たっては、犯罪捜査規範実施細目別記様式第7号の「逮捕状請
求検討票」又は同別記様式第10号の「各種令状請求検討票」の項目ごとに行い、特
に犯罪の証明、被疑者の特定、逮捕の必要性その他の疎明事項が明らかにされている
かどうかを確認すること。
2 疎明資料について、犯罪の日時及び場所、被疑者の氏名及び生年月日その他証拠資
料の品目及び数量等の記載内容に矛盾、不備又は疑問がある場合は、当該事件を担当
する捜査員に事実を確認して矛盾等がないようにすること。
3 疎明資料を審査した結果、疎明が十分であり、令状請求の必要があると認めた場合
は、その状況等を署長等(本部事件主管課の長及び警察署長をいう。以下同じ )に
。
報告し、その指揮を受けること。
第8 検察官連絡
捜査主任官は、規模が大きく、かつ、内容が複雑な事件、多数の検挙人員が予想され
る事件、社会的反響が大きいと予想される事件その他特別の事情があって、検察官に対
する連絡(以下「検察官連絡」という )の必要があると判断した事件については、次
。
により令状請求前の適当な時機に検察官連絡を行うものとする。
1 捜査主任官が自ら行うこと。
2 地方検察庁への送致事件については副部長検察官又は副部長検察官が指定する検察
官に対して、区検察庁への送致事件については上席検察官又は上席検察官が指定する
検察官に対して行うこと。
3 警察署において検察官連絡を行う場合は、必要に応じて事前に本部事件主管課(担
当係経由)と協議の上、行うこと。
第9 令状請求上の留意事項
1 令状請求は、令状請求者、捜査主任官又は事件内容に精通した捜査員が、自己の勤
務する警察署等の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官の下に出頭し
て行うものとする。
2 捜査主任官は、事件内容が複雑である場合、同時に多数の令状を請求しようとする
場合等で、裁判官が令状の審査に長時間を要すると認められるときには、できる限り
早い段階で、裁判所に対して、事件名、令状請求の予定時刻及び件数、事件の概要等
を連絡しておくものとする。
3 夜間及び休日等における令状請求は、被疑者を緊急逮捕した場合又は現に取り扱っ
ている被疑者が逃走若しくは証拠隠滅を図るおそれがある等、緊急を要する場合に限
り行うものとする。
なお、平日の午後5時から翌日の午前8時30分まで及び休日等における令状請求
は、特別区内の各警察署等にあっては東京地方裁判所又は東京簡易裁判所の当直裁判
官に、第八・第九方面区内の各警察署等にあっては東京地方裁判所立川支部又は立川
簡易裁判所の当直裁判官に対して、それぞれ行うこと。この場合において、事前の電
話連絡は要しない。
4 他の道府県へ出張中の場合等で令状請求を行う必要が生じたときは、審査責任者に
速報し、その指揮を受けた後、最寄りの下級裁判所の裁判官に対して請求することが
できる。
5 前記3の規定にかかわらず、島部警察署における令状請求については、別に定める
ところによる。
第10 令状等の請求状況の把握等
審査責任者は、令状請求を行った場合は、当該事件を担当する捜査員に対して、犯
罪捜査規範別記様式第13号の「令状等請求簿」に令状等種別、有効期間等を記載さ
せるなどして、当該令状の請求状況を確実に把握するものとする。
なお、発付を受けた令状及び交付を受けた逮捕状に代わるものについては、施錠設
備のあるロッカー等に保管し、適切に管理するとともに、有効期間が経過した場合又
は有効期間内であっても事情変更により必要がないと認められた場合には、発付等し
た裁判官に返還すること。
第11 報告
署長等は、令状の請求を却下され、又は撤回した場合は、その状況を速やかに別記
様式の「令状請求特異事案報告」により事件主管部長(次表に掲げる担当課(担当)
経由)に報告するものとする。
事件主管部
担当課(担当)
交通部
交通総務課(法令係)
地域部
地域指導課(捜査指導第二係)
公安部
公安総務課(公安法令係)
刑事部
刑事総務課(刑事指導第一係)
生活安全部
生活安全総務課(生活安全部管理官(生活安全警察指導担当 )
)
組織犯罪対策部 組織犯罪対策総務課(組織犯罪対策指導係)
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。