告訴事実の書き方30(公務執行妨害罪)【元刑事が解説】

 公務執行妨害罪とは?
公務執行妨害罪は、公務員(みなし公務員を含む)が職務を遂行している際に、暴行や脅迫を加えることによって成立する犯罪です。この罪の本質は「公務員」ではなく、**「公務」**を守ることにあります。

公務の定義と公務執行妨害罪の成立条件

「公務」とは広義に捉えられ、具体的な行動が求められるわけではありません。たとえば、窓口業務において公務員が何もせずにただ立って待機している場合でも、それは**「公務執行中」**と見なされます。この場合、暴行が加えられると、公務執行妨害罪が成立します。

私服刑事の場合と公務執行妨害罪

もし私服の刑事が勤務中であることを知らずに暴行を加えた場合、公務執行妨害罪の故意が認められないため、本罪は成立しません。その場合、単純暴行罪が成立します。

暴行と脅迫の関係

公務執行妨害罪を犯す際に行われた暴行や脅迫は、あくまで本罪の手段としての行為となり、これらは別個に罪として成立しません。


 都営バス運転手に対する公務執行妨害の記載例です。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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