告訴事実の書き方28(不同意性交等罪)【元刑事が解説】

 不同意性交等罪とは?:定義、成立条件、そして刑法改正後の変化

不同意性交等罪は、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し、またはその意思を全うすることが困難な状態」にさせられ、その状態を利用して性交等行為が行われると成立します。従来の「強制性交等罪」や「強姦罪」に相当し、2023年の刑法改正により、罪名が変更されました。この記事では、不同意性交等罪の定義や成立条件、そして刑法改正の影響について詳しく解説します。

不同意性交等罪の定義と成立条件

不同意性交等罪が成立するためには、以下の条件が必要です。

  1. 被害者が同意しない意思を形成できない状態にあること
  2. その状態を利用して性交等行為が行われること

具体的には、以下の手段を用いて被害者が「抵抗できない、または『嫌だ』と言えない状態」に追い込まれることが該当します。

不同意性交等罪の具体的な手段

  1. 暴行または脅迫を加える
  2. 心身の障害を利用する
  3. 過度のアルコールや薬物を与え、抵抗できない状態にする
  4. 睡眠や昏倒など、意識がもうろうとしている状態を利用する
  5. 同意する時間を与えない(意思表明をする時間を与えない)
  6. 恐怖や驚愕などで抵抗できない状態にする
  7. 過去の暴行や虐待による無力感を利用する
  8. 経済的または社会的地位に基づく不利益への不安感を利用する

性交等の定義

本罪における性交等とは、以下の行為を指します。

  • 膣に陰茎、指、または物を挿入する行為
  • 肛門に陰茎、指、または物を挿入する行為
  • 口に陰茎を挿入する行為

これらの行為が行われることにより、不同意性交等罪が成立します。

刑法改正による変更点

令和5年に行われた刑法改正により、従来の「強制性交等罪」は「不同意性交等罪」に改められました。これにより、性犯罪に関する法律がより詳細に定義され、被害者を守るための措置が強化されています。


 暴行脅迫による不同意性交等罪の告訴事実の記載例です。

 心身障害の場合の告訴事実記載例です。

酒を飲ませた犯行の告訴事実記載例です。

睡眠その他意識が明瞭でない場合の告訴事実記載例です。

 いとまがない場合の告訴事実記載例です。

恐怖、驚愕させた場合の告訴事実記載例です。

虐待に起因する心理的反応を利用した場合の告訴事実記載例です。

経済的、社会的地位利用の告訴事実記載例です。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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