告訴事実の書き方25(信書開封罪)【元刑事が解説】

 信書開封罪は、他人宛に送られた手紙や封書を無断で開封することで成立します。ここで重要なのは、手紙が実際に送付されたかどうかは関係ない点です。信書開封罪が成立するためには、封を破る、または封を開ける行為が必要となります。したがって、封筒が既に破れている、または封がされていないはがきなどは、この罪に該当しません。

信書開封罪の成立要件には、封を開ける行為が含まれており、中身を読むことは成立要件ではありません。そのため、封を破った時点で罪は成立します。文書が空であっても成立することに変わりはなく、開封した時点で既遂となります。

また、他人の郵便ポストを無断で開けて信書開封罪を犯し、封書を元に戻した場合は信書開封罪のみが成立します。しかし、封書を自宅に持ち帰ると、信書開封罪に加え、窃盗罪も成立する可能性があります。

 この罪は「親告罪」です。検察官が起訴するためには告訴状の提出が必要です。また「告訴期間」といって犯人を知った日から6か月を過ぎると告訴できなくなりますので注意が必要です。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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