告訴事実の書き方21(恐喝罪)【元刑事が解説】

 恐喝罪は、他人を**恐喝(脅迫)**して、金品を交付させたり、財産上の利益を得たりすることで成立します。この罪が成立するためには、脅迫によって被害者が畏怖し、その畏怖に基づいて金品を要求する必要があります。

恐喝罪と脅迫罪の違い

脅迫罪は、害悪を告知して人を畏怖させるだけで成立しますが、恐喝罪はその畏怖に乗じて金銭などを要求する行為です。つまり、脅迫罪は金品の要求がない場合に成立するのに対し、恐喝罪は金品を求める行為がなければ成立しません。

恐喝罪と強盗罪の違い

恐喝罪強盗罪は、どちらも金品を脅して取得する点で共通していますが、以下のように異なります:

  • 強盗罪には、被害者の反抗を抑圧するための暴行または脅迫が必要です。反対に、恐喝罪では畏怖する程度の脅迫または暴行で十分です。
  • 金品の取得方法も異なり、強盗罪は「奪う」という手段を用いるのに対し、恐喝罪は「交付させる」方法を取ります。

恐喝罪の構成要件

恐喝罪の成立要件は以下の通りです:

  1. 恐喝行為(脅迫または暴行)
  2. 畏怖(被害者が恐怖を感じる)
  3. 財産的処分行為(金品の交付)

この構成は、詐欺罪の構成要件である「欺罔行為錯誤財産的処分行為」に似ています。

恐喝行為における欺罔(嘘)について

恐喝行為において、欺罔(嘘)が含まれていても、詐欺罪は成立せず、恐喝罪のみが成立します。

恐喝罪における暴行の扱い

恐喝罪における暴行は、強盗罪に至らない程度の暴力です。例えば、「次は本気で殴るぞ。嫌なら金出せ」という言葉を使い、被害者に軽い暴行を加えることで成立します。この場合、暴行は恐喝罪の一部として扱われ、暴行罪が別途成立することはありません。

恐喝罪の未遂と既遂

恐喝罪には、未遂処罰規定があります。財産的処分行為が行われなければ未遂となり、金品の交付があれば既遂となります。

 恐喝罪(たかり)の告訴事実記載例です。

 元交際相手によるメール利用の性的画像ばらまき(リベンジポルノ)恐喝罪記載例です。

 不倫をネタにした脅し行為

 企業恐喝


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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