紙切れ一枚が警視総監賞になった話【元刑事のコラム】
警察において何より重要なのは情報です。刑事、公安、生活安全、交通、地域、全ての部署で情報が集められ、事件捜査や行方不明者の捜索など様々な警察事象に活用されます。
私が長年勤めた知能犯捜査分野には「知能犯情報報告」という制度がありました。これは、捜査二課主幹の事件(贈収賄、選挙違反、政治家による犯罪、大型詐欺事件、特殊詐欺等)について、何らかの情報を入手した場合に作成し、警視庁本部捜査二課情報係に報告するものでした。
F警察署知能犯捜査係時代に、管内のある建設業者が「情報提供したい」と言って訪ねてきました。もう20年近く前のことですので、詳細は覚えていませんが、ある建設会社が受注に関連して不正を行っているという内容だったと思います。わたし的には、あまり関心が引かれなく、「適当に本部に報告しておけばいいか」と思って情報報告書1枚にまとめ、署長までの決裁を受けた後、捜査二課に送付し、そのままこの件は忘れていました。
それから3年ほど経って本部の生活経済課に異動後、捜査二課から警視総監賞の賞状が送られてきました。確かに名前の欄には私の名前が書いてありますが、事件名を見ても全く覚えがありません。刑事なら、自分が捜査した事件なら、一目見て「ああ、あの事件か」とわかるはずです。上司に聞いてみましたが、上司も知らないとのこと。そこで、捜査二課に電話して聞いてみました。すると、前記の情報報告書を受け取った捜査二課が、その内容に基づいて内偵捜査を行ったところ、事件性あることが判明。捜査二課で捜査を継続して関係者を逮捕。無事起訴につながったとのことで、端緒の情報を入手・報告した私に警視総監賞が贈られたのでした。
通常、こうした場合、情報を入手した刑事は、捜査二課に呼ばれて一緒に捜査することになるのですが、私は組織違いの生活安全部にいたため、保秘もあって、蚊帳の外だったという訳です。
こうして私は紙切れ1枚を作っただけで、警視総監賞1件をもらえたのです。ちなみに、警視総監賞はそうそう簡単にもらえるものではありません。警察官の中には、誰でももらえる永年勤続の警視総監賞を除き、警察人生で1件ももらえないまま定年を迎える人もいます。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


