警視庁警察官が現金3000万円を盗んだ件について
本日(令和7年3月1日)、警視庁蒲田警察署刑事課鑑識係の巡査部長が、本年1月、変死で扱った現場から現金約3000万円を窃取した件で逮捕されたとの報道がありました。
私は、この巡査部長と面識は全くありませんし、既に警視庁を辞職しておりますが、かつての勤務先職員がこのような犯罪を犯したことについてお詫びします。
当事務所コラム内でも幾つか記事を挙げていますとおり(赤坂署汚職、大井署汚職)、過去にも警察官による不祥事は幾度も起きてきました。当事者である警察官が厳しく処罰されることは至極当然のことであり、擁護する気持ちは全くありません。今回の警察官も、初犯ではあると思いますが、職責を無視した悪質性の高さと金額の多さから、懲役実刑となるでしょう。
それはそれとして、次に何が起きるかを言います。警察では、職員による大きな犯罪や不祥事が発生すると、その職員を懲戒免職し、退職金をカットします。当然のことです。そして、警察幹部は謝罪の記者会見を開いて市民に謝罪し、「今後このようなことがないよう指導を強化していきます」などと言って、新たな規定や施策を作ります。こうした規定や施策は、現行の手続きや決裁を複雑にさせることは確実であり、その不利益を受けるのは現行職員になります。
つまり、犯罪や不祥事を起こした一人の職員のせいで、残った何万人という職員に対して、「連帯責任」のような、懲罰にも近い施策が実行されるのです。仕方がないといえばそれで終わりですが、私は警察官であった当時に、職員の不祥事が起きるたびにこの「連帯責任」の波をかぶってきて、その度、不合理さとストレスを感じてきました。そのストレスが、次なる不祥事の引き金にならないといいのですが。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
