【罪種別】告訴時の証拠収集ポイント|元刑事が解説
告訴の際に必要な証拠資料とは?
告訴状の作成はもちろんですが、適切な「証拠資料」を添付することが重要です。しかし、初めて告訴する人にとっては、どのような証拠を準備すればよいか分かりにくいものです。
証拠資料は罪名によって異なります。ここでは、特に告訴されることが多い罪種ごとに、必要な証拠収集のポイントを解説します。
1. 傷害罪・暴行罪の証拠収集
傷害罪や暴行罪を告訴する際には、以下の証拠が有効です。
【必要な証拠】
- 防犯カメラ映像(自治体や商店街のカメラ映像は警察に依頼)
- 被害部位の写真(複数枚撮影)
- 血痕の写真(床・衣服に付着したものも)
- 使用された凶器の写真(可能ならそのまま保管)
- 診断書(病院で発行してもらう)
- 目撃者の証言書(陳述書)
2. (業務上)横領罪の証拠収集
業務上横領や個人間での横領の告訴には、以下の証拠が必要です。
【必要な証拠】
- 現金の出所を示す証拠(銀行口座明細、スマホ画面キャプチャ)
- 物品の所有を証明する証拠(領収書、保証書、鑑定書)
- 預けた際の契約書・依頼書・メール
- 被告訴人の業務性を証明する証拠(雇用契約書、会社内規、名刺)
- 使い途の証拠(競馬・ホストクラブ・パチンコ店名など)
3. 詐欺罪の証拠収集
詐欺被害を告訴する場合、騙された証拠を確保しましょう。
【必要な証拠】
- パンフレット・名刺・契約書・領収書(騙しの手口を示す)
- 録音・録画データ(文字起こしすると効果的)
- メールやLINEの履歴(印刷・スクリーンショット)
- 奪われた金銭や物品の出所証明(銀行明細、領収書、保証書)
4. 名誉毀損罪・侮辱罪の証拠収集
インターネットや対面での名誉毀損・侮辱罪の証拠を集めます。
【必要な証拠】
- SNS・掲示板のスクリーンショット(URL付きで印刷)
- サイトのトップページのスクリーンショット
- 発言を聞いた人の証言書(陳述書)
- 録音データの文字起こし(業者依頼も可能)
まとめ
告訴の成功には、適切な証拠資料の提出が不可欠です。本記事では、主要な罪種別に必要な証拠のポイントを解説しました。
告訴を検討している方は、早めに証拠を確保し、専門家に相談することをおすすめします。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
