(罪種別)告訴する際の証拠資料収集ポイント【元刑事が解説】

 告訴するときに告訴状を作成するのは当然ですが、告訴状に添付すべき「証拠資料」としてどのようなものが必要かは、初めて告訴する人にはなかなか難しいと思います。必要とされる「証拠資料」は罪名によって異なりますので、告訴されることが多い罪種について説明します。

1.傷害罪(暴行罪)

 犯行状況が撮影された動画があればいいのですが、自治体や商店街が設置した防犯カメラ画像データは、個人が請求しても提供してもらえることはまずないので、設置場所を確認できたら警察に入手を依頼しましょう。暴行を受けた体の部位は、何枚か撮影しておきます。出血して床や道路に血痕が落ちた場合はそれも撮影します。衣服に血が付着した場合は、脱がずに着たままの状態で撮影します。被告訴人が道具を使って暴行した場合はその道具も撮影し、可能ならそのままできるだけ触れないようにして保管しておいてください。警察から提出を求められた場合は提出してください。なるべく早く病院で診察を受け、診断書を発行してもらいます。その際、左頬を殴られたのに「右顎の打撲傷」などと傷害の部位が矛盾した部位になっていないかよく確認してください。警察で費用を払ってくれる場合がありますので、診断書代の領収書(レシート)は必ずもらっておいてください。
 目撃者がいて協力してくれる場合は、「陳述書」などの書類を作成し署名・押印してもらってください。本文は印刷で構いません。

2.(業務上)横領罪

 預けておいて横領されたのが現金の場合は、その現金の出所を明らかにする資料が必要です。銀行から引き出したなら、その取引を証明する口座取引明細書またはスマホ画像などです。物品(腕時計、絵画など)の場合は、購入時の領収書、保証書、鑑定書など。一連の製造番号があるものはその番号を記載したものが必要です。被告訴人に預けるに際して期間等を定めた契約書、依頼書、メールなどがあれば証拠になります。
 業務上横領の場合は、これらに加えて、被告訴人の業務性を証明するために、雇用契約書、会社内規、任務分担表、社内配置図、名刺など、被告訴人が「業務上」(継続反復して)現金や物品を取り扱う職にあったことを証明するものが必要です。
 現金の横領罪の場合、費消先(使い途)が重要になります。被告訴人に聞ける場合は、なるべく詳細に聴取して告訴状等に記載してください。例えば「ホストに使った」といった場合ならどこのホストクラブなのか、「競馬に使った」なら○○競馬場または○○場外、パチンコならパチンコ店名とパチンコなのかスロットなのか等。

3.詐欺罪

 被告訴人が騙しに使ったパンフレット、名刺、契約書、請求書、領収書など書類関係は全て証拠になります。指紋採取する場合があるのでなるべく素手では触らないようにしてください。録音や録画があれば当然証拠になります。録音がある場合は、なるべく文字起こしをして資料化します。文字起こしをしてくれる業者があります。料金はそれほど高額ではありません。
 被告訴人とやり取りしたメールがあれば印字して資料化します。LINEトークは、簡単にテキストデータ化できます。やり方はネットで検索すると簡単に出てきます。ただし、やり取りに画像やスタンプを多用している場合、テキストだけではさっぱり意味がわからない場合があります。このようなときは画面のスクリーンショットを撮って印刷することになりますが、やり取りが多い場合は非常に多大な労力とプリンターインクが必要となりますので、全体のテキストデータ+重要部分だけのスクリーンショットでいいかと思います。
 犯人に騙し取られたのが現金の場合、そのお金の出所を明らかにする必要がありますので、銀行口座から引き出したならその明細書が要ります。物品の場合は、その購入履歴、保証書、領収書などがあれば添付します。

4.名誉毀損罪・侮辱罪

 インターネット上の犯罪の場合、画面のスクリーンショット(ただしサイトのURLが確認できること)を撮って印刷します。犯行にかかる画面の他に、そのサイトのトップページのスクリーンショットも撮ってください。掲示板などで複数の閲覧者が書き込んでいる場合は、話の前後関係によって犯罪となるかどうかが変わってくることがありますので、省略せずに一連の流れを全て印刷します。
 インターネットではなく、被告訴人が複数の人の前で「公然と」発言した場合は、それを聞いていた人の協力が必要です。「陳述書」「説明書」などその方から一筆書いてもらってください。人数が多ければ多いほどいいです。本文は印刷で構いませんが、名前は自筆で印鑑もあったほうがいいでしょう。録音があれば文字起こしが必要です。業者に依頼することもできます。料金はそれほど高額ではありません。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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