警察が被害届・告訴状を受理してくれない場合の対応方法【元刑事が解説】
警察が被害届や告訴状を受理してくれない場合、理由によって対策は変わってきます。理由別に対応方法を記載します。
なお、以下の場合は、どう対策しても、何度警察に相談に行っても絶対に受理されませんので、あきらめるしかありません。
・公訴時効が過ぎている(公訴時効は犯罪が完了したときから進行が始まります。被害者が犯罪に気付いたときからではありません。)
・犯人が死亡している
・財産犯(窃盗、横領、詐欺など)で犯人が全額弁済している
・財産犯で直系血族・配偶者・同居の親族間の犯行である
・同じ事件で既に他の捜査機関に受理されている
・親告罪(過失傷害、器物損壊、名誉毀損、侮辱など)で「告訴期間」(犯人を知ってから6か月)を超過している
1.「事件にならない」「犯罪が成立しない」と言われた場合
こちらでその事件のキーワードを入力して検索し、該当する「判例」または「裁判例」で有罪となったものがないかを探してください。過去に同じような事件で裁判で有罪となったものがあれば、警察は受理せざるを得なくなります。なお「判例」とは最高裁(大審院)の判決、「裁判例」とは高裁、地裁の判決となります。同様事件の判決が見つからない場合は、本当に事件が成立しないのか、専門家に聞いてください。なお、「判例」はほぼ絶対的ですが、「裁判例」はそこまでではありません。実際、「娼婦を騙して性交したら詐欺罪になるか?」の裁判例は異なる裁判例があり、結着が付いていません。
2.「証拠が無い」と言われた場合
当サイトのこちらのページをご覧ください。
3.「犯人が見つかりそうにない」と言われた場合
犯人が見つかるかどうかは捜査してみないとわかりません。また、犯人が他の事件でつかまったり、自ら出頭してくる可能性もあります。「見つかる可能性が少なくてもできるだけの捜査はしてください」と言って受理を求めましょう。
4.「(公訴)時効までの残り日数が少ない」「発生から日にちが経ちすぎ」と言われた場合
時効は、暴行罪で3年、傷害罪で10年、横領罪で5年、窃盗・詐欺・業務上横領で7年です。残りが1年以上あれば十分捜査できます。「1年間だけでもいいので捜査してください」と言って受理をお願いしましょう。
5.「忙しい」「人がいない」と言われた場合
「今すぐ捜査してくれなくてもいいので受理だけしてください」と説得してください。処理に日にちがかかったとしても、受理されず犯人が逃げ得になるよりはマシです。
6.「民事訴訟で敗訴してるからダメ」と言われた場合
民事裁判と刑事裁判は全くの別物です。相互に関係性はありません。そのことを説明して受理をお願いしましょう。
保存版】被害届・告訴状を警察が受理してくれない理由と正しい対処法【状況別に解説】
警察に被害届や告訴状を提出しようとした際、「受理できません」と言われてしまうことがあります。
この記事では、警察が被害届や告訴状を受理しない主な理由と、それに応じた正しい対応方法を、具体例を交えて解説します。
■ 絶対に受理されないケース(例外)
以下の場合は、何度相談しても受理される可能性はゼロです。どんな対策を講じても警察が受理することはありません。
- 公訴時効が過ぎている
(※時効は「犯罪が発生した日」から進行します。「被害者が気づいた日」ではありません) - 加害者(犯人)が死亡している
- 財産犯(詐欺・横領・窃盗など)で加害者がすでに全額弁済している
- 親族間の財産犯(直系血族・配偶者・同居の親族によるもの)
- 同一事件が他の捜査機関ですでに受理されている
- 親告罪(例:名誉毀損・侮辱・過失傷害・器物損壊)で告訴期間(犯人を知ってから6か月)を過ぎている
【ケース別】被害届・告訴状が受理されないときの対処法
1.「事件にならない」「犯罪が成立しない」と言われた場合
この場合は、過去の判例・裁判例を調べて、類似事件で有罪判決が出ているか確認しましょう。
「判例(最高裁)」や「裁判例(地裁・高裁)」で同様の行為が犯罪と認められているなら、警察も受理せざるを得なくなります。
※判例の検索には法務省や裁判所の公式サイト、法曹関係のデータベースが有効です。
※判例は強い法的拘束力がありますが、裁判例はそこまでの効力はありません。
例:「詐欺的に性交した場合、詐欺罪になるか?」のようなケースは、裁判例でも判断が分かれていることがあります。
2.「証拠がない」と言われた場合
証拠が不十分と判断された場合は、どのような証拠が必要か、どこを補強すればよいかを確認しましょう。
詳しい証拠集めの方法は、当サイトの別ページにて詳しく解説しています(※リンクを設定)。
3.「犯人が見つかりそうにない」と言われた場合
「犯人の特定が困難」という理由で受理を拒否されたとしても、捜査をしなければ見つかるかどうかはわかりません。
また、加害者が別件で逮捕されたり、自首するケースもあるため、以下のように伝えましょう。
「可能性が低くても構わないので、まずは受理していただけませんか?」
4.「公訴時効が近い」「事件発生から時間が経ちすぎた」と言われた場合
犯罪の種類ごとに公訴時効の期間が異なります。
- 暴行罪:3年
- 傷害罪:10年
- 横領罪:5年
- 窃盗・詐欺・業務上横領:7年
残り1年以上あるなら捜査可能です。
「時効まで少しでも時間があるので、受理だけでもお願いします」と伝えてみましょう。
5.「忙しい」「人手不足」と言われた場合
人手や時間が足りないという理由で断られた場合は、**「今すぐでなくてもいいので、受理だけしてください」**と丁寧にお願いしましょう。
少し時間がかかったとしても、未受理のまま放置されるよりは良い結果につながる可能性があります。
6.「民事裁判で負けてるからダメ」と言われた場合
民事訴訟と刑事事件は別物です。
民事での敗訴が刑事事件の受理を妨げる理由にはなりません。その旨をしっかり説明しましょう。
まとめ:被害届が受理されないときは冷静に対応しよう
警察が被害届や告訴状を受け取らない理由はさまざまです。しかし、正しい知識と対処法を知っていれば、対応できるケースも多くあります。
- 拒否された理由を冷静に確認する
- 判例・証拠・法的知識を使って再度交渉する
- 諦めずに別の警察署や相談窓口に持ち込むことも検討する
正しい手順を踏んで、泣き寝入りを防ぎましょう。
ご希望であれば、「内部リンク追加」や「特定キーワードをもっと盛り込む」などの微調整もできます。どうしますか?
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
