被害者多数事件で告訴する場合【元刑事が解説】
全国規模の投資詐欺や副業詐欺などで、被害者が多数存在する場合、一人一人が住んでいる場所の警察署に告訴状を提出したのでは、受ける警察側も大変ですし、弁護士や行政書士に告訴状作成を依頼する被害者の負担も大きくなります。このような場合で「被害者の会」のような組織ができていて(できていなくても可です)、被害者同士で連絡が取り合えるのであれば、1通の告訴状で告訴人(被害者)を連名にして警察等に提出することが可能です。特に制約はないので、告訴人の人数は何人でも可能です。このようにすることで警察側は1所属が集中して捜査できますし、被害者側は弁護士または行政書士費用を「割り勘」にすることができますので、一人当たりの費用負担を大幅に減らすことができます。
問題となるのは「どこの警察に提出するか」ということになります。必ずしも正解はありませんが、経験上、被告訴人が法人であり、事務所が存在するなら、その本店が所在する都道府県の警察に提出するのがいいでしょう。被害者の人数が2、3人程度であれば警察署でもいいかと思いますが、それ以上になれば都道府県警察の本部(本庁舎)に提出(相談)するのがいいと思います。現在は、各都道府県警本部に「相談センター」が開設されており、ここが対応してくれると思います。
気をつけていただきたいのは、都道府県警本部は、警察署のように土日祝日も開所していませんので、平日のみとなります。夜間もやっていません。また、警視庁捜査二課聴訴室のように、告訴状の受理までしてくれるところもありますが、道府県警によって対応は「相談」だけで、「受理」は警察署を案内されるところがありますので、その指示に従ってください。
その後の捜査は受理した都道府県警が担当しますが、大きな事件であれば他の県警を巻き込んだ「合同捜査本部」が設置されて捜査に当たることもあります。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
