被害者が死亡した場合は告訴はできませんか?【元刑事が解説】
法的には可能です。刑事訴訟法231条2項で、「被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる」とあり、配偶者、祖父~親~子間、兄弟姉妹は告訴ができると明示されています。ただし、同項には続きがあり「ただし、被害者の明示した意思に反することはできない」とあり、生前被害者が告訴を望んでいなかった場合には、告訴ができないということになります。
では、被害者の告訴に対する意思表示が何も残っていない場合はどうでしょうか。これは、受理する警察側の判断になると思われます。犯罪の内容、被害程度、被害者と被疑者との関係、被害弁済の有無やその可能性、遺族感情、証拠の有無などを総合的に判断して決めることになります。ただし、事件捜査にとって一番重要な「被害者の供述」が得られないということは、事件の内容が全く分からない可能性もあり、そうした場合であれば受理可能性はかなり低いと思われます。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
