書類送検とは? 元刑事がわかりやすく解説

 「書類送検」は、マスコミ用語であり、正しくは「送致」または「送付」と言います。以下にこの「送致」と「送付」の解説をいたします。

1.送致とは

 送致とは、警察から検察庁に「事件を送る」ことです。「事件を送る」というのがわかりにくいかもしれませんので、時系列で説明します。
① 事件発生
② 警察が被害者から被害届または告訴状の受理
③ 事件捜査開始
④ 犯人(容疑者)を特定
⑤ 犯人を逮捕するかしないかを検討
   逮捕:裁判所に逮捕状を請求→通常逮捕→取調べ→捜査書類と一緒に犯人を検察庁に送る【送致】
   非逮捕(任意捜査):犯人を警察署に呼び出し→取調べ→被疑者供述調書作成→被害届、供述調書などの捜査書類だけを検察庁に送る【送致】

 このように、警察から検察庁に事件を送る場合、犯人を逮捕して書類と一緒に送っても、書類だけを送っても、どちらも法的には「送致」です。そこで便宜的に、書類だけの場合を「書類送致」と言うことがあります。マスコミはこれを「書類送検」と呼んでいるわけです。

2.送付とは

 「送付」とは、「送致」の一種なのですが、被害者から「告訴状」が警察に提出されている事件または告発人から「告発状」が提出されている事件を、犯人(容疑者)を逮捕せずに、書類だけを検察庁に送ることを言います。書類だけを送ることを言うので、わざわざ「書類送付」と言うことはありません。マスコミが報道する場合には、送致と同じく「書類送検」と報道します。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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