変わった詐欺の手口
私が警察官時代に扱ったり見聞きした中でちょっと変わった手口の詐欺について紹介します。
1 スカウト詐欺
原宿や渋谷付近を歩いている十代~二十代の男女に自称スカウトが声をかけ「彼女かわいいね。モデル事務所の○○なんですが、モデルの仕事に興味ない?」などと声をかけ、近くの雑居ビルにある事務所に連れていき何枚か写真を撮ってその気にさせた上で、「売り込むにはきちんとした宣材写真が必要です。うちの事務所では、タレントの○○○○なんかも撮ってるプロカメラマンの○○さんが専属なので、写真撮ってくれます。撮影料は8万円です。次回、おしゃれして来てください」などと言って高額な撮影料を取ります。実際に写真を撮ってくれますが、それで終わりです。売り込みなんかしてくれません。「仕事が来ない」と苦情を言うと、1日数千円の通行人役のエキストラの仕事を回してきます。
2 安物腕時計詐欺
都内の繁華街を歩いていると、スーツ姿の男性が「すみません。うちの会社倒産しちゃって腕時計が大量に在庫あるので一つもらってくれませんか」などと声をかけてきます。タダならと思って手を出すと「あの、よかったらでいいんですが、給料出ないので今日の食事代もないんです。妻子もいます。どうか1万円でお願いできませんか」などと言ってきます。演技が非常に上手いので、親切な人だと「この人本当にかわいそう」と思ってつい1万円を渡してしまいます。男は礼を言うとさっとどこかへ消えます。二度と見つけることはできません。しばらくして我に返り、腕時計をよくよく見ると、ベトナム辺り製造の数百円程度の安物であることがわかります。警察に相談に行っても、名刺や領収書もなく、男を見つける方法は一切ありません。
3 新聞集金詐欺
新聞販売店で新聞配達と集金を担当していた元従業員が、販売店を辞めた後に自分が担当していた区域を回り、新聞代を集金する詐欺です。お客さんは辞めたことを知りませんし、顔なじみですから何の疑問も持たずにお金を渡します。新しい担当が集金に回ったときになって、「今月もう払ったわよ。いつもの人に。」となって発覚します。犯人はそのときにはもうどこかへ高飛びしていなくなっています。
4 募金詐欺
交通遺児や海外難民などのための募金と称して街頭でお金を集める詐欺です。集めた金は仲間でわけて酒を飲んだりギャンブルに費やします。
5 パチンコ必勝法詐欺
パチンコの必勝法を売る詐欺です。パチンコ雑誌に広告を掲載したり、ネットで客を集め「○○○○台での絶対勝てる打ち方」を1件5~10万円程度で販売します。お金を払うとその打ち方を書いた紙が送られてきたり、メールが届きます。「〇ボタンを2回素早く押した後、○○チェッカーに玉を〇発入れて10秒経ってから×ボタンを3回・・・」などと、いかにもそれらしい打ち方を教えてきます。喜んでパチンコ屋に行ってその方法を試してももちろん出るわけありません。インチキですから。客が怒って電話すると「おかしいですね。皆さんそれで勝っているんですけどね。もしかしたら対策されたかもしれません。それならもっと簡単手順の○○××台の打ち方買いませんか。これなら間違いなく出ます。」などといって別な打ち方を売りつけます。客はサラ金に行ってお金を借り、再び払って必勝法を買いますが、もちろん今度も出ません。
6 自動車燃費アップ詐欺
「ガソリンタンクに入れるだけで○○石から出る××イオンがガソリン成分を活性化させ、燃費が最大で30%向上します!」などと宣伝してただの石を高額で売る詐欺です。逮捕事例もあります。
7 エステ店詐欺
駅前の雑居ビルなどに脱毛などのエステ店をオープンします。施術20回チケット10万円などとして前金で払わせます。1回目はすぐに施術を受けられますが、終わった後に次回予約を取ろうとすると「当店大変人気がありまして現在予約が2か月先まで埋まっております。2か月後の木曜日6時でよろしいでしょうか?」と言われます。仕方なくその日を予約し、その日に施術を受けると「次回予約は3か月先で・・・。」となります。オーナーは人件費を抑えるために店員の人数を抑えており、にもかかわらず前売りチケットをどんどん売るので、予約が伸びるのは当たり前なのです。行きつく先は苦情&消費者センター&訴訟となり、ある日突然ドアに「当店は事情により閉店いたしました」の貼り紙をして関係者はドロンです。そしてどこか離れた町でまた似たようなエステ店を開店するのです。
8 デリヘル美人局詐欺(性的描写がありますので苦手な人は読まないでください)
デリヘルを呼んで行為を始めます。女性は横たわっていいなりです。なんとなく誘ってきているようにも思えてきます。「もしかして本番OK?」と思い、そーっと入れてみますが抵抗しません。喜んで行為をエスカレートさせたとたん、女性が真顔になって「あんた、もしかして入れてる? うち本番禁止なんだけど。」と言うとスマホでどこかに電話をかけます。数分でどうみても一般人ではない強面の男二人が部屋に来ます。「お客さん、うちの嬢に本番したそうじゃないですか。どうしてくれるんすか。」と語気鋭く申し向けられます。その後50~100万円の示談金を要求されます。「詐欺」としましたが、送致罪名は恐喝になる場合が多いです。
9 白アリ詐欺
訪問営業マンが、やや古い木造の一軒家を訪ね「白アリがいないか無料でお調べします」と言って、応じると床板や畳をはがして床下に潜ります。数分後、してやったりといった顔をして「ほら、いましたよ!」と言ってケースに入れた白アリ数匹を見せます。家主がびっくりすると「今ならまだ初期段階で間に合いますから早く消毒しましょう。料金は全部で30万円です。すぐに作業したほうがいいので、振り込みお願いします。」と言ってお金を騙し取ります。見せた白アリはどこか他の場所で捕まえてきたものです。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。