遠方の警察署へ告訴状を提出する方法
仮に以前北海道に住んでいてそこで詐欺や性犯罪といった被害にあい、現在は大阪に住んでいるといった場合、告訴状を居住地を管轄する大阪の警察署に持って行っても「うちは管轄権がないので発生場所である北海道警○○警察署に相談してください」と言われてしまいます。法的には、告訴状はどこの警察署にも提出できることになっているのですが、実務上、告訴状は受けた警察署が処理しなくてはならず、大阪府警が受理してしまうと、発生場所の確認や、周辺の聞き込み、証拠の収集、防カメ画像収集、関係者の取調べなどの捜査を大阪から北海道へ逐次出張して行わなくてはならず、負担が大きすぎます。このような場合に、受けた告訴状を大阪府警から北海道警へ移送することも一応制度としては可能ですが、警察内部の慣習として「認知処理の原則」「受理処理の原則」という不文律があり、仮に大阪府警が告訴状を受理して北海道警に「移送してもいいですか」と聞いても「そっちで勝手に受理したんですからそっちで処理してください」と言われて拒否されてしまいます。では受理する前に電話して「こんな告訴相談が来てますが受理してそちらに移送してもいいですか」と聞いても「こっちで話しを聞きますから相談人に直接連絡させてください」となります。なので、最初に書いたように「うちは管轄権がないので発生場所である北海道警○○警察署に相談してください」となってしまうのです。
北海道警に直接行って相談すると一旦告訴状はコピーの預かりになるのが普通です。数日から1週間後に「受理」となれば告訴状原本と証拠品などを持参して再度北海道へ。その後数週間程度して告訴人供述調書の作成で呼び出され再再度北海道へ。これでは3回大阪と北海道を往復しないとならず1回の飛行機代が5万円とすれば合計15万円もかかってしまいます。そこで、告訴状を作成したなら、北海道警に電話して「こういう被害にあったので、告訴状を出したいのですが、飛行機代が高いので、一旦コピーを郵送するので内容の審査をお願いしたい」と相談してください。OKならばコピーを郵送して返事を待ちます。「受理しますので原本と身分証明書を持って来てください」と言われたら、「飛行機代が高いため1回で終わらせたいので、原本受理と告訴人供述調書の作成を同時にお願いしたい」と告げてください。おそらく応じてくれるはずです。これで1回の往復だけで済みます。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。