元警視庁刑事が教える「告訴のメリット・デメリット」

 告訴のメリットとデメリットを被害届との比較で挙げてみます。

告訴のメリット
1 100%検察庁に送致される。
 告訴を受理した警察は、何があっても事件を送致しないとなりません。例え示談が成立して告訴を取り消しても、被告訴人が死亡した場合であっても、必ず送致しないとなりません。被害届は送致されない可能性があります。
2 起訴される可能性が高くなる。
 統計があるわけではありませんが、経験上、被害届よりも告訴のほうが起訴される可能性は高くなると感じます。
3 相手に対するプレッシャーが強い。
 被害届を提出されるよりも、告訴されるほうが相手にとっての精神的ダメージは大きくなります。民事訴訟を並行して行っている場合には、有利に働くことがあります。
4 検察庁から起訴・不起訴の連絡がもらえる。
 検察庁から「処分結果通知書」が送られてくるので、起訴・不起訴の結果がわかります。被害届の場合は何も送られてきません。

告訴のデメリット
1 お金がかかる。
 被害届は警察官が作成してくれるので完全に無料ですが、告訴状作成を弁護士や行政書士、司法書士に依頼するとお金がかかります。弁護士は、最低価格で着手金35万円、受理報酬20万円、起訴(有罪)報酬20万円かかります。行政書士と司法書士は数万円~となります。
2 時間がかかる。
 相談から受理までに1か月以上かかることがあります。また、受理後も、送致を受ける検察庁との調整が必要であり、検察官が「捜査が十分尽くされているので送致してよし」と言ってくれるまで、警察は勝手に送致することはできません。
3 取り消しても相手が送致されてしまう。
 メリットの部分とも重なりますが、示談や和解が成立し、相手を許す気持ちになったとしても、一度告訴してしまった以上、相手の送致を止めることはできません。被害届なら、取り下げれば相手は送致されません。また、取り消した場合であっても、起訴される可能性はゼロではありません。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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