元警視庁刑事が教える警察に受理してもらいやすい告訴状作成法
一度でも警察に告訴状を持って行ったことがある方ならおわかりになると思いますが、警察は簡単に告訴状を受理してくれません。その理由については以前こちらのコラムに記載しましたので、関心ある方はご覧になってください。
初めて告訴状を持参した場合、刑事はまず何を調べるでしょうか。答えは「断る理由」です。何か一つ致命的なものがあれば、それだけをもって受理を断ることができます。例えば「告訴の要件」を満たさない場合です。具体的に挙げますと
1 公訴時効が超過している
2 告訴権がない
3 親告罪で告訴期間(犯人を知った日から6か月)が超過している
4 処罰意思の記載がない
5 明らかに犯罪ではない
となります。1~3については、どうしようもありませんので、その告訴は諦めるしかありません。4についてはその旨を加えれば受理される可能性はあります。一番もめるのは5です。告訴する側は犯罪だと思っているのに、刑事は「これは事件ではない。」と言って押し問答になるケースが珍しくありません。このような場合、裁判例や報道記事を探すのが一番です。過去に同様の事件で有罪とされた裁判例や、被疑者が逮捕や書類送致されたとの報道記事が見つかれば、刑事は受理せざるを得なくなります。
また、刑事に断る材料を与えないためには、事実をよく吟味する必要があります。例えば、犯罪行為が何回もあったり、複数罪種で告訴するような場合です。この中に一つでも犯罪成立に疑問があるような事実があると、その一点をもって不受理とされてしまう可能性があります。犯罪行為が10件あったとして、そのうち2件が事件として少々怪しい場合には、これらを削除して8件の告訴事実で告訴することが妥当と言えます。告訴事実が10件であっても8件であっても、犯人の受ける処罰はそれほど変わりません。そもそもですが、受理してもらえなければ犯人には全く処罰が与えられないのですから、とにかく受理してもらうことが第一なのです。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。