法人を告訴人とする告訴?法人を告訴人とする告訴の手続きとポイント【元刑事が解説】

法人による告訴は可能

法人(会社)が被害者となる犯罪に対して告訴を行うことは可能です。特に、横領や窃盗などの社内犯罪が発生した場合、適切な手続きを踏むことで警察に受理されやすくなります。本記事では、法人を告訴人とする告訴の流れや注意点について詳しく解説します。

法人による告訴の方法

法人が告訴を行う際は、代表取締役の名前を並記して告訴状を作成する必要があります。具体的には、以下のようなフォーマットで作成します。

          告 訴 状

                 令和○年○月○日

○○県○○警察署長  殿

                    告訴人
                    所在地:○○県○○市○○町1丁目3番5号
                    法人名:新庄開発株式会社(代表取締役 ○○○○)
                    電話:0429-00-0000

法人番号や事業目的等の詳細は告訴状に記載する必要はなく、法人登記簿(必要に応じて定款写し)を添付することで対応できます。

代表取締役が会社資金を横領した場合の対応

会社の社長、すなわち代表取締役が会社資金を横領した場合、次のような対応が必要となります。

  1. 臨時株主総会の開催
    • 横領した代表取締役を解任する。
    • 新しい代表取締役を選任する。
  2. 新代表取締役による告訴
    • 新代表取締役が法人を代表し、旧代表取締役個人を被告訴人として告訴を行う。

社内犯罪の告訴をスムーズに進めるためのポイント

警察の担当者は、社内犯罪に関する詳細な情報を求めることが多いため、以下の点に注意しましょう。

  1. 警察との連携強化
    • 社内で事件をよく知る人物を警察との担当窓口として指定する。
  2. 証拠の確保
    • 被疑者が犯行を認めた場合、できるだけ早く「自認書」または「顛末書」を本人に書かせ、署名を取る。
    • こうした文書があることで、警察の告訴受理の判断が大きく変わる。
  3. 適切なタイミングでの対応
    • 横領や窃盗などが発覚した際、警察への相談や解雇が決定すると、被疑者が会社に来なくなるケースがある。
    • そのため、早めの対応が重要。
  4. 示談する場合は慎重に
    「毎月○万円返済します」などと示談を交わし、その条件として警察への告訴を見送ったとします。被疑者は、数か月だけ支払い、その後支払わずにどこかに逃亡してしまうことがあります。こうなると、お金は返ってこず、警察に相談に行っても「示談してお金も一部返済されているなら事件化できない」と断られ、泣き寝入りになることがあります。示談する場合は、被疑者の収入見込みの確認、被疑者の親や兄弟を保証人とするなど、慎重に行わないとなりません。

まとめ

法人が告訴を行う際は、適切な手続きを踏み、必要な証拠を確保することが重要です。特に、社内犯罪においては警察との連携を強化し、証拠を残すことが告訴受理のポイントとなります。
なお、法人を告訴することはできません。法人が人を騙したり、殴ったり、監禁したりはできないからです。

旧記事 
法人による告訴は可能です。この場合、株式会社であれば代表取締役の名前を並記して告訴状を作成することになります。具体的には

               告 訴 状

                             令和○年○月○日

○○県○○警察署長 殿

             告訴人 所在地 ○○県○○市○○町1丁目3番5号
                 法人名 新庄開発株式会社(代表取締役 ○○○○)
                 電 話 0429-00-0000

との記載になります。法人番号や事業目的等については、告訴状に記載は必要なく、法人登記簿(必要に応じて定款写し)を添付すれば間に合います。従業員に会社資金を窃盗または横領された場合などはこのように法人が被害者となります。
 では、会社の社長、つまり代表取締役が会社資金を横領した場合はどうなるでしょうか。このような場合は、臨時株主総会を開いて、横領した代表取締役を解任し、新しい代表取締役を選任後、その新代表取締役が会社を代表して、旧代表取締役個人を被告訴人として告訴することになります。
 社内犯罪の場合は、警察側担当者から協力の電話を入れることが多いため、会社内で事件をよく知る者1名を警察担当窓口として指定しておくことが大切です。
 横領等、社内犯罪が発生した場合、警察に連絡して解雇という流れになることが多いと思われますが、警察に相談したり、解雇が決定した段階になると、被疑者が呼んでも会社に出てこなくなることがあります。そのため、犯行を認めたなら、早期に「自認書」または「顛末書」を本人に書かせ、署名を取っておくことが極めて重要です。こうした文書があるのとないのとで、警察の告訴受理の判断が大きく変わってきます。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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