被告訴人(犯人)がわからなくても告訴は可能!【元刑事が解説】
犯人が特定できていない場合でも、告訴(告発)は可能です。その際、告訴状の被告訴人欄には、犯人について分かる範囲の情報を記載してください。もし一切分からなければ「不詳」とだけ記載すれば問題ありません。
警察はどのように捜査を進めるのか?
告訴状が受理されると、警察は提出された証拠や情報をもとに被告訴人の特定を進めます。具体的な捜査手順は公務員の守秘義務により公開できませんが、一般的に行われる流れを紹介します。
1. 電話番号からの追跡
被告訴人の電話番号が分かっている場合、警察は電話会社に照会し契約者情報を取得します。以前は郵送での照会が必要でしたが、現在は警察専用端末と電話会社のシステムが連携しており、迅速な情報取得が可能です。
ただし、特殊詐欺などではレンタル番号(飛ばし携帯)を使用するケースが多く、契約者を辿っても真犯人に到達できない場合がほとんどです。このような悪質な業者には強制捜査(ガサ入れ)を行うこともありますが、完全な摘発には至らないこともあります。
2. 名前が分からない場合の捜査方法
被告訴人の名前が分かっている場合、警察はさまざまな方法で捜査を進めます。しかし、名前が不明、もしくは偽名を使っている場合は、本名を特定する必要があります。
例えば、
- 特徴的な手口の犯罪の場合、過去の類似事件の犯人写真を告訴人に確認してもらうことがあります。
- **詐欺事件(地面師詐欺・取り込み詐欺)**では、同一犯による繰り返し犯行が多いため、類似事件の調査が有効です。
3. 住所が不明な場合の追跡方法
仮に被告訴人の名前や生年月日が分かっても、住所が不明なケースは珍しくありません。特に、犯罪者は住民登録を行わずに逃亡していることが多いため、住民票を取得しても実際の居場所が判明しないことがほとんどです。
その場合、以下のような調査が行われます。
- 銀行口座の利用履歴から、使用しているATMの場所を特定し、大まかな居住地域を推測する。
- 車両のナンバーを調査し、その車両の移動履歴を追跡する。
4. 住居が判明したら逮捕へ
被告訴人の住居が特定できた場合、警察は捜索差押許可状と逮捕状を裁判所に請求します。
かつては張り込み捜査が主流でしたが、現在は遠隔カメラの活用が一般的です。録画データを高速再生することで、効率的に出入りの時間を把握し、逮捕のタイミングを見極めることができます。
まとめ
犯人が特定できていなくても、告訴は可能です。警察はさまざまな方法で被告訴人を特定し、捜査を進めます。
- 電話番号の照会
- 過去の犯罪データとの照合
- 銀行口座や車両ナンバーからの追跡
- 遠隔カメラによる監視
旧記事
犯人がわからなくても告訴(告発)は可能です。その際、告訴状の被告訴人欄には、犯人についてわかる範囲のことを記載してください。一切わからなければ「不詳」でOKです。
告訴状を受理した警察では、提出された資料や情報から被告訴人がどこの誰であるかを捜査して解明します。詳しい手順について書くと、公務員の守秘義務違反になってしまう(退職後も守らないとなりません)ので書けませんが、一般に知られていて、問題の無い範囲で流れを書きます。
被告訴人の電話番号がわかっているなら、電話会社に照会して回答を得ます。以前は郵送で文書を送り、郵送で回答をもらっていましたが、現在は警察の専用端末と電話会社の端末がつながっており、全て端末によって照会と回答が可能になっています。特殊詐欺の場合は、電話番号を調べても、ほぼ100%レンタル番号であり、貸主をたどっていっても犯人には到達できません。いい加減な身分確認でレンタルしている悪質業者は嫌がらせの意味も含めてガサをすることがありますが、大した痛手ではないので、そのまま営業を続ける業者が少なくありません。
被告訴人の名前がわかっていれば、いろいろと調べる方法はありますが、名前がわからなかったり、偽名の場合は何とかして名前(本名)を解明しないとなりません。犯行が特徴的な手口であれば、過去に起きた同様手口の事件を探し出し、その犯人の写真を印刷して告訴人に見せることもあります。同じ犯人が同様の手口を繰り返すことが多い地面師詐欺や取り込み詐欺では有効な手法です。
被告訴人の名前や生年月日がわかっても居場所がわからないことも多くあります。戸籍謄本は当然取得しますが、悪いことをして逃げ回っている人間はきちんと住民登録なんかしませんので、住民票のある場所に行ってもいないことがほとんどです。銀行口座がわかれば、使用しているATMを調べて住んでいるおおよその場所がわかることもあります。名前から使用車両のナンバーを調べることもできます。ナンバーがわかればその車がどの辺を走っているのかがわかります。
被告訴人の住居がわかれば、捜索差押許可状と逮捕状を裁判所に請求します。住んでいるかどうかの確認は、昔はひたすら張り込みましたが、最近は遠隔カメラが主流です。朝出勤してきたら、昨日夜からの録画を早回しで見るだけなので楽なものです。出入りの時間もわかりますから、何時頃に行けばいるのかもわかって便利です。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


