親告罪の告訴期間とは?適用条件と注意点【元刑事が解説】
親告罪の告訴期間はいつまで?
親告罪の告訴期間は、刑事訴訟法第235条により、
「犯人を知った日から6か月以内」と定められています。
この期間を過ぎると告訴ができなくなるため、早めの対応が重要です。なお、「公訴時効」と勘違いをされる方が多いのですが、全くのベツモノです。なお、告発については告訴期間の準用はありませんが、そもそも親告罪の告発は意味をなさないため、受理がされません。
親告罪とは?具体的な犯罪の例
親告罪とは、被害者が告訴しなければ検察官が起訴できない犯罪のことです。
代表的な親告罪には以下のものがあります。
- 名誉毀損罪・侮辱罪(SNS・ネット掲示板の書き込みも含む)
- 過失傷害罪
- 器物損壊罪
- 秘密漏示罪
- 信書開封罪
- 親族間の窃盗罪・詐欺罪・横領罪・背任罪
これらの犯罪は、「告訴がなければ公訴を提起することができない」と刑法に明記されています。
「犯人を知った日」とは?告訴期間の起算点
「犯人を知った日」とは、以下の条件を満たした日を指します。
✅ 犯人の氏名や住所が判明した日
✅ 顔をはっきり記憶し、後で特定できる状態になった日
❌ 暗闇で顔の輪郭しか分からないような場合は、「知った日」には該当しません。
また、刑事訴訟法第55条により、日数の計算方法は以下のルールがあります。
- 初日は含めず、翌日から1日目とカウント
- 最終日が土日祝の場合は、翌平日が期限
この計算方法は、公訴時効の計算とは異なるため注意が必要です。
ネット上の名誉毀損・侮辱罪と告訴期間の関係
SNSや掲示板などのインターネット上の書き込みによる名誉毀損・侮辱罪の場合、特別なルールがあります。
🕒 書き込みが削除されない限り、告訴期間は進まない!
例えば、1年前に書かれた投稿であっても、まだ閲覧可能な状態なら告訴可能です。
これは「犯行が継続している」とみなされるため、公訴時効も告訴期間も進行しません。
特殊ケース:未成年者の被害と親権者の告訴
未成年者が親告罪の被害に遭い、告訴期間(6か月)を過ぎてしまった場合でも、親権者がその後に事件を知れば、親権者の告訴期間が新たに開始されます。
⚖ **最高裁判例(昭和28年5月29日)**によると、親権者は法定代理人として告訴が可能です。
共犯事件と告訴期間
共犯者が複数いる場合、1人の犯人を知った時点で全員分の告訴期間が開始します。
そのため、告訴期間が過ぎると、他の共犯者も告訴できなくなる点に注意しましょう。
告訴人(告訴権者)が複数いる場合の告訴期間
各告訴人個別に告訴期間が存在し、他者に影響しません。よって、告訴人が甲乙二人居る場合、乙の告訴期間がまだ残っていたとしても、甲の告訴期間が超過してしまった場合、甲は告訴することができません。
まとめ:親告罪の告訴期間を過ぎる前に対応を!
✅ 親告罪の告訴期間は「犯人を知った日から6か月」
✅ ネットの書き込みは削除されない限り告訴可能
✅ 未成年者の親権者は別途告訴できる
✅ 共犯者がいる場合、1人の特定で全体の告訴期間が開始
旧記事
刑事訴訟法235条により、親告罪の告訴は「犯人を知った日から6か月以内にしなければならない」ことになっています。
親告罪とは、過失傷害罪、名誉毀損罪、侮辱罪、器物損壊罪、親族間の窃盗罪・詐欺罪・横領罪・背任罪などがあります(他にもあります)。親告罪の罪は、刑法のその条文の後ろに「告訴がなければ公訴を提起することができない」との一文があります。親告罪ではない犯罪(窃盗、詐欺、横領、暴行、傷害、性犯罪等)には、告訴期間の適用がないので、公訴時効期間内であれば、いつでも告訴することができます。
「犯人を知った日」とは、犯人の氏名や住所などがわかればその時点、これらがわからなくても顔をはっきり見て記憶しており、後で本人又は写真等を見れば特定・抽出できるような場合でも「知った日」になります。暗闇の中での犯行で、犯人の顔は輪郭しかわからない程度であれば「知った日」にはなりません。なお、刑事訴訟法第55条の規定により、知った日の数え方は初日を算入せず、知った日の翌日が1日目となります。末日が土曜日、日曜日、祝日の場合はこれを算入せず、これらの日の翌日が末日となります。これらの数え方は公訴時効の数え方と異なりますので注意が必要です。
ネット上の書き込みによる名誉毀損罪や侮辱罪の場合、その書き込みが放置されたまま誰でも見られる状態が続いていると、犯行は継続しているものとして公訴時効は進みません。告訴期間もその適用を受けますので、書き込みが消えない限りは告訴期間の時計の針も進みません。つまり、1年前に書かれた書き込みで、その時点で犯人が誰かわかっていたとしても、現在書き込みが残っていればいまだ告訴ができるということです。
非常にレアケースではあると思いますが、未成年者が親告罪の被害にあい、犯人を知った日から6か月を超過して告訴できなくなったとしても、親権者である両親がその後に事件と犯人を認知した場合、両親の告訴期間はその時点から開始されるので、法定代理人として告訴が可能です。(最高裁、昭和28.5.29)
告訴期間は、外国の代表、外国の施設には適用されません。
共犯事件で被告訴人が2人以上いる場合、犯人のうち一人を知れば、他の被告訴人を含めた事件全体の告訴期間が始まります。よって、告訴期間が超過すれば、誰かわからない共犯者についても告訴することができなくなります。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


