告訴事実の書き方18(業務妨害罪)

 業務妨害罪は、虚偽の風説(うわさ)を流布し又は偽計を用いて、若しくは威力を用いて、他人の業務を妨害することで成立します。「業務」については、「人が社会的地位に基づき、反復・継続して行う仕事」とされ、趣味の活動や家事は含まれないとされています。

 偽計業務妨害になるか、威力業務妨害になるかは、妨害行為が公然的明示的であるか否かで分けられると言われますが、実務上はどちらにすべきか悩むケースが多く、個別に判断しないとなりません。刑法各論などを見ますと、裁判実務上でも両者を分けることはあまり意味がないとする指摘がされているようで、個人的にも刑法改正の際に刑法233条(偽計業務妨害罪)と刑法234条(威力業務妨害罪)は統合したほうがいいと考えますが、みなさんはいかがでしょうか。

 業務妨害罪は、結果の発生を必要とせず、業務が妨害される蓋然性・危険性が発生した時点で既遂となります。

 偽計業務妨害罪の告訴事実記載例です。

 迷惑電話による偽計業務妨害の告訴事実記載例です。

 威力業務妨害罪の告訴事実記載例です。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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