告訴事実の書き方15(逮捕監禁罪)
逮捕罪と監禁罪は同じ条文ですが、犯行状況によって、逮捕罪、監禁罪、逮捕監禁罪と3つの罪名が存在します。
逮捕罪は、紐で縛ったり手錠をかけるなどして有形力を行使する場合はもちろん、凶器を示しての脅迫や、「警察からここから動くなと言われている。」など騙して行動を制約する場合にも成立します。
監禁罪は、一定の区域から出られないようにすることで、逮捕罪と同じく方法は有形的でも無形的でも成り立つとされています。
逮捕監禁罪は、逮捕行為の後に引き続き監禁した場合に成立します。
どの罪にも共通する事項として、本罪の手段として実行された暴行や脅迫の罪は本罪に吸収されるため、別罪を構成しません。ただし、本罪の手段としてではなく、別個に行われた暴行や脅迫は別罪として成立します。
告訴事実
刑法第220条 逮捕
被告訴人らは、共謀の上、令和6年5月4日午後5時30分頃、東京都三鷹市西牟礼4丁目5番14号被告訴人前田和夫方において、同前田が告訴人に対し「おまえいつまで待ったら50万円返すんだよ。返すまで縛るから。」と言って、同吉田昭夫と共同して告訴人の両手両足を粘着テープで縛り上げ、約10分間にわたって身動きできない状態にさせ、もって告訴人を不法に逮捕したものである。
告訴事実
刑法第220条 監禁
被告訴人は、告訴人が被告訴人の妻と浮気をしていると思い込み、令和6年3月7日午前8時0分頃、東京都杉並区方南1丁目3番5号先路上において、告訴人に対し刃渡り約10センチメートルの包丁を示しながら、「おまえうちの女房に手出したろ。東京湾沈めるからそこ入れ。」と言って、同所に停車中の黒色乗用自動車(トヨタクラウン、足立ナンバー以下不明)のトランク内を指さした上、告訴人を同トランク内に押し込めてトランクリッドを閉め、同車をすぐに発進させて、同日午後1時0分頃、群馬県館林市東大町3丁目445番地先路上まで走行させ、その間約5時間にわたり、告訴人を同車トランク内に閉じ込めて脱出不能の状況におき、もって告訴人を不法に監禁したものである。
※事例の場合は銃刀法違反にも該当します。
告訴事実
刑法第220条 逮捕監禁
被告訴人吉田功、同近藤守、同小野伸二は、共謀の上、告訴人を逮捕監禁しようと企て、令和5年10月7日午後9時0分頃、東京都港区港南1丁目4番5号先路上において、同吉田が、帰宅途中の告訴人に対し、スタンガンようのものを示しながら、「これでしびれたくなかったら黙って乗れ。」と言って、同所に停車中の黒色ワンボックス車両に中央座席に告訴人を押し込み、同吉田と同小野が告訴人の左右に座ってそれぞれ告訴人の腕を掴んで身動きできない状態にして不法に逮捕し、運転席の同近藤が車両を発進させ、同月8日午前2時0分頃、千葉県成田市西成田4丁目765番地先路上まで走行させ、その間5時間にわたり、告訴人を同車内に閉じ込めて脱出不能の状況におき、もって告訴人を不法に監禁したものである。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。